ポイント
- 高性能なレーザー計測技術により、放電発生初期の超高速現象(ストリーマ放電)を支配する主要パラメーター群をセットで直接計測することに成功。
- これにより、従来モデルでは予測されていなかった内部の電荷・電界構造を発見。
- 従来モデルの妥当性検証・改良・精緻化に供する実験ベンチマークを初めて提示。
- 放電の予測・制御性能向上により、雷現象の理解や放電の医療・農業・環境・エネルギー応用が加速するものと期待される。
本研究では、高時間分解能を有する複数のレーザー計測技術を駆使することで、幅広い領域で研究が進められているストリーマ放電においてそのダイナミクスを支配する電子密度と電界を世界で初めてセットで直接計測することに成功しました。実験には再現性の高い単一フィラメント状の放電を用い、2次元電子密度分布と1次元電界分布を取得し、相互に整合することを実証しました。さらに、これらの実験結果は従来の理論・数値計算モデルでは予測されていなかった新しい電荷・電界構造であることを明らかにし、既存モデルの妥当性検証・改良・精緻化に資する実験的ベンチマークを提示しました。
本研究は埼玉大学 大学院理工学研究科 稲田 優貴 准教授、塩田 達俊 准教授、中村 亮介 特任准教授、前山 光明 名誉教授、東京大学 大学院新領域創成科学研究科 小野 亮 教授、東京大学 大学院工学系研究科 熊田 亜紀子 教授らの共同研究によって実施され、2025年12月8日(現地時間)に「Physical Review Letters」へ掲載されました。
本研究は科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(課題番号JPMJFR233Y)、同 戦略的創造研究推進事業 さきがけ(課題番号JPMJPR2003)、日本学術振興会(JSPS) 科研費(JP18H01418、JP19H02122、JP20K20995、JP24H02248、JP24H02246)の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Direct combinational measurements of the electron density and electric field in secondary streamer discharge under atmospheric-pressure air”
- DOI:10.1103/5sv6-28qp
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