東京大学,九州大学,京都大学,理化学研究所,神戸大学,科学技術振興機構(JST)

2025(令和7)年12月4日

東京大学
九州大学
京都大学
理化学研究所
神戸大学
科学技術振興機構(JST)

フラーレン誘導体が光誘起超核偏極に有用であることを発見

~高感度化MRIへの応用に必要な実用化レベルの高偏極率を達成~

ポイント

東京大学 大学院理学系研究科の坂本 啓太 大学院生、濱地 智之 大学院生(現 九州大学 先導物質化学研究所 助教)、楊井 伸浩 教授らの研究グループは、京都大学 大学院理学研究科の御代川 克輝 大学院生、倉重 佑輝 准教授、京都大学 大学院工学研究科の今堀 博 教授、理化学研究所 開拓研究所および仁科加速器科学研究センターの立石 健一郎 研究員、上坂 友洋 主任研究員・兼部長、神戸大学 分子フォトサイエンス研究センターの小堀 康博 教授らと共同で、トリプレットDNPの新規偏極源分子としてフラーレン誘導体の開発を行うことで、高効率なトリプレットDNPを実現しました。

光励起三重項電子の高いスピン偏極率を利用したトリプレットDNPは、低磁場、室温でも駆動するため、簡便で低コストな超核偏極法として注目されています。本研究では、新規偏極源としてフラーレンの電子構造に着目し、化学修飾することで電子スピン偏極の緩和を抑制することに成功しました。これまで一般的に偏極源として用いられてきたペンタセンと比較して、フラーレン誘導体を用いることで約21倍のトリプレットDNP効率の向上を実現しました。また、応用に重要なアモルファス材料中において、初めて実用化レベルとされる10パーセント以上の偏極率を達成したことから、今後の高感度化MRIへの実用化が期待されます。

本研究成果は、2025年12月4日付(英国時間)で「Nature Communications」に掲載されました。

本研究は、内閣府 総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「先進的量子技術基盤の社会課題への応用促進」(管理法人:量子科学技術研究開発機構)、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(課題番号:JPMJFR201Y、JPMJFR221R)、同 戦略的創造研究推進事業 CREST(課題番号:JPMJCR23I6)、同 次世代研究者挑戦的研究プログラム(課題番号:JPMJSP2110)、文部科学省 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)(課題番号:JPMXS0120330644)、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費(課題番号:JP22J21293、JP24KJ1809、JP20H05831、JP20H05832、JP23H00309、JP25H00903、JP25K22299)の支援により実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Substituted Fullerenes for Enhanced Optical Nuclear Hyperpolarization in Random Orientations”
DOI:10.1038/s41467-025-66211-y

<お問い合わせ>

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