ポイント
- ある特定の金ナノクラスターを高濃度で加熱すると逐次的な融合反応が進行し、一定のピッチで伸長した「金量子ニードル」が生成することを発見した。
- これまで知られていた金量子ニードルの系列に加え、末端構造の異なる2種類の系列を新たに見いだした。
- 量子ニードルの長さと末端構造を選ぶことで、近赤外領域における吸収波長を制御することが可能であり、温熱療法・生体イメージング・光エネルギー変換などへの応用展開が期待される。
東京大学 大学院理学系研究科の濵﨑 佑哉 大学院生、城ノ上 諒太 大学院生(当時)、髙野 慎二郎 助教、佃 達哉 教授らによる研究グループは、ある特定の金ナノクラスターの高濃度溶液を加熱すると融合反応が逐次的に進行し、三角形Au3の積層構造が4層ごとのピッチで伸長した「量子ニードル」と呼ばれる針状構造体が高収率で得られることを発見しました。両端が四面体Au4で終端された既知の量子ニードルの系列に加えて、片端のみがAu3で終端した系列、および両端共にAu3で終端した系列が新たに見いだされました。これらの金量子ニードルは、その長さと末端構造に応じて800〜2000ナノメートル(ナノは10億分の1)の範囲の特定波長の近赤外光を強く吸収することから、温熱療法・生体イメージング・光エネルギー変換などへの応用展開が期待されます。
本研究成果は、2025年11月25日(米国東部時間)付で、「Journal of the American Chemical Society」に掲載されました。
本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST(課題番号:JPMJCR20B2)、科研費 基盤研究B(課題番号:JP23K26610)、学術変革領域研究B(課題番号:JP25H01394)、住友財団基礎科学研究助成の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Gold Quantum Needles Synthesized by Thermal-Induced, One-Dimensional Oligomerization of Au24(SC2H4Ph)20”
- DOI:10.1021/jacs.5c14201
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