情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所,科学技術振興機構(JST)

2025(令和7)年10月27日

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所
科学技術振興機構(JST)

一本鎖DNA切断、がんの引き金に

~コピー数異常を生む仕組み発見~

遺伝子のコピー数の異常は、がん発症の主要な原因の1つです。遺伝情報が記録された二本鎖DNAが切断されることで、遺伝子のコピー数が変化することは知られていましたが、それ以外の仕組みは長く分かっていませんでした。本研究では出芽酵母を用いて、DNAの複製に重要な酵素のコード遺伝子Rad27(ヒトでの名称はFEN1)が、リボソームRNA遺伝子(rDNA)のコピー数を安定に保つ役割を担うことを明らかにしました。Rad27がないと、DNA複製中に作られるDNAの短い断片「岡崎フラグメント」が処理されずに残り、一本鎖DNA切断の断片が蓄積し、その結果rDNAのコピー数が乱れることが分かりました。この研究成果は、がん細胞で頻発するDNAコピー数異常の仕組みを明らかにし、がん化する過程の理解につながることが期待されます。

本研究成果は、国際科学雑誌「FEBS Letters」に2025年10月27日(日本時間)に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(JPMJFR214P)、日本学術振興会(JSPS) 科研費(JP24K09417)、武田科学振興財団、情報・システム研究機構 戦略的研究プロジェクトにより支援されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Rad27/FEN1 prevents accumulation of Okazaki fragments and ribosomal DNA copy number changes”
DOI:10.1002/1873-3468.70193

<お問い合わせ先>

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