東北大学,科学技術振興機構(JST)

2025(令和7)年9月18日

東北大学
科学技術振興機構(JST)

肝臓の糖新生が運動能を決める

~新たな運動持久力向上法、肥満・サルコペニア対処法へ~

ポイント

体の中には、空腹時や運動時にブドウ糖を作り出して低血糖を防ぐ糖新生と呼ばれる仕組みが備わっています。糖新生では、脂肪分解によりできるグリセロールや、筋肉で作られる乳酸などの材料(基質)をもとに、主に肝臓でブドウ糖が産生されます。

東北大学 大学院医学系研究科 糖尿病代謝・内分泌内科学分野および東北大学病院 糖尿病代謝・内分泌内科の金子 慶三 講師、堀内 嵩弘 特任研究員、片桐 秀樹 教授らのグループは、運動の強さに応じて、肝臓での糖新生に使われる基質が異なることを明らかにしました。ゆっくり走る軽い運動ではグリセロール、速く走る激しい運動では乳酸を基質とした肝臓の糖新生が活発化することにより、運動が持続できていることを発見しました。さらに、肝臓の酸化還元反応を促進させると、糖新生が亢進(こうしん)し、運動持久力が向上することも確認されました。

本研究は運動能の向上法につながるとともに、肥満・サルコペニアへの対策の新たなアプローチにつながるものと期待されます。

本研究成果は、2025年9月18日(現地時間)に英国学術誌「Nature Metabolism」誌に掲載されました。

本研究は、文部科学省 科学研究費補助金(課題番号:20H05694、22K08642)、科学技術振興機構(JST) ムーンショット型研究開発事業「目標2:2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」の研究課題「恒常性の理解と制御による糖尿病および併発疾患の克服(プロジェクトマネージャー:片桐 秀樹、課題番号:JPMJMS2023)の支援を受けて実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Redox-dependent liver gluconeogenesis impacts different-intensity exercise in mice”
DOI:10.1038/s42255-025-01373-z

<お問い合わせ先>

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