ポイント
- IrAu12ナノクラスターを連結し、二量体や三量体、多量体など多様な構造体を構築・観察することに成功。
- 多座の架橋配位子を用いることで、ナノクラスター同士の精密な連結と構造制御を実現。
- 高度に制御された集積技術により、階層性ナノ物質科学の発展と機能性材料開発への貢献が期待される。
東京大学 大学院理学系研究科の佃 達哉 教授と、物質・材料研究機構の原野 幸治 主幹研究員らによる研究グループは、金属ナノクラスターを自在に集積化し、その集積構造を高角環状暗視野走査型透過電子顕微鏡によって初めて可視化することに成功しました。
あらかじめ連結部位がプログラムされたイリジウム(Ir)と金(Au)から成るIrAu12ナノクラスターを、多座の架橋配位子と反応させることで、二量体、直鎖型三量体、直鎖型多量体、または三角型三量体に自己組織的に集積させました。溶液中で作製した集積体を、構造を保持したまま炭素薄膜上に分散させる手法を開発することで、透過電子顕微鏡によって集積構造を可視化することを可能とし、ナノクラスターが架橋配位子の構造によって規定された相対配置をとることを実証しました。さらに、光励起によって集積体内のナノクラスター間での電子移動が誘起されることを見いだしました。
本研究成果は、2025年7月30日(米国東部夏時間)に「Nano Letters」に掲載されました。
本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST(課題番号:JPMJCR20B2)、科研費 基盤研究A(課題番号:JP23H00284)、基盤研究B(課題番号:JP23H01917)、学術変革領域研究A(課題番号:JP23H04874)、特別研究員奨励費(課題番号:JP25KJ0897)の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(832KB)
<論文タイトル>
- “Programmed Assembly of IrAu12 Nanoclusters into Dimers and Trimers: Electron Microscopy Observation and Spectroscopic Characterization”
- DOI:10.1021/acs.nanolett.5c02770
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