九州大学,東京大学,科学技術振興機構(JST)

2025(令和7)年7月15日

九州大学
東京大学
科学技術振興機構(JST)

硫黄含有天然物に硫黄原子が取り込まれる仕組み

~鉄硫黄クラスターを使って有機硫黄化合物を合成する酵素の発見~

ポイント

九州大学 高等研究院の牛丸 理一郎 准教授と東京大学 大学院薬学系研究科の森 貴裕 准教授、阿部 郁朗 教授らの研究グループは、テキサス大学 オースティン校 化学科のHung-wen Liu(ハング・ ウェン・リュウ) 教授、カーネギーメロン大学 化学科のYisong Guo(イソン・グオ) 准教授らと共同して、強力な抗生物質活性を示す硫黄含有天然物アルボマイシンの生合成過程において硫黄挿入反応を触媒する新規酵素を同定し、鉄硫黄クラスターを硫黄供与源とする新たな化学反応機構を解明しました。

本研究ではアルボマイシン生産菌の遺伝学的解析や生合成酵素の生化学的解析に加え、硫黄挿入酵素に結合する鉄硫黄クラスターの性質をX線結晶構造解析とスペクトル解析を用いて総合的に精査し、生物活性天然物の生合成経路において新たな硫黄導入分子機構を解明しました。

今回の成果により、新規硫黄含有天然物の発見や硫黄挿入生体触媒の開発といった創薬分野への応用が期待されます。

本研究成果は雑誌「Nature Catalysis」に2025年7月15日(火)(日本時間)に掲載されました。

本研究は、文部科学省 科学研究費補助金(JP20KK0173、JP21K18246、JP22H05123、JP23K13847、 JP23H00393、JP24H01309、JP25H02006、JP25K02417)、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(JPMJFR2305、JPMJFR226I)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(JPNP20011)、日本医療研究開発機構(JP21ak0101164)、アメリカ国立衛生研究所(GM035906、GM153203)、ウェルチ財団(F-1511)、アステラス病態代謝研究会、持田記念医学薬学振興財団、内藤記念科学振興財団、日本応用酵素協会、上原記念生命科学財団、鈴木謙三記念医科学応用研究財団の助成を受け実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Radical S-adenosyl-L-methionine FeS-cluster implicated as the sulphur donor during albomycin biosynthesis”
DOI:10.1038/s41929-025-01367-w

<お問い合わせ先>

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