東京大学,科学技術振興機構(JST)

2025(令和7)年7月4日

東京大学
科学技術振興機構(JST)

脳は友達の性別をどう記憶する?

~社会性記憶における他者情報の符号化様式~

ポイント

東京大学 定量生命科学研究所の度会 晃行 特任助教、田尾 賢太郎 助教、奥山 輝大 教授による研究グループは、他者の情報を記憶として整理する脳の仕組みを明らかにしました。これまでに同グループの研究によって、友達についての記憶が、記憶中枢である海馬の中の「腹側CA1領域」という小領域に貯蔵されることが分かっていた一方で、「性別」などその相手に付随した情報がどのように表現されているのかは分かっていませんでした。

本研究では、マウスを用いた神経活動の詳細な記録によって、腹側CA1領域には特定の相手に応答する「アイデンティティー細胞」と、相手にかかわらず性別や系統という属性を表現する「プロパティ細胞」が共存していることを発見し、これらの細胞が組み合わされて特定の友達の記憶を表現していることを示唆しました。

本研究成果は、現地時間2025年7月3日付の「Science誌」(オンライン版)に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業(課題番号:JPMJFR2143)、戦略的創造研究推進事業 CREST(課題番号:JPMJCR23B1)、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(課題番号:JP18H02544、JP19K06951、JP20K21459、JP21H02593、JP21H05140、JP22K06481、JP23K19395、JP24K18158)、特別研究員奨励費(課題番号:JP20J01468)、日本医療研究開発機構(AMED)「脳とこころの研究推進プログラム(課題番号:JP21wm0525018)、再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム(課題番号:JP24bm1123057)、内藤記念科学振興財団、セコム科学技術振興財団の支援により実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Representation of sex-specific social memory in ventral CA1 neurons”
DOI:10.1126/science.adp3814

<お問い合わせ先>

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