東京大学,科学技術振興機構(JST),千葉大学,筑波大学

2025(令和7)年7月3日

東京大学
科学技術振興機構(JST)
千葉大学
筑波大学

自然界の限界を超えるエネルギー変換機能を持つ
ATP合成酵素の開発に成功

~細胞工学やバイオものづくりへの応用に期待~

ポイント

東京大学 大学院工学系研究科の上野 博史 講師、野地 博行 教授らの研究グループは、千葉大学 大学院理学研究院の村田 武士 教授、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所の千田 俊哉 教授、安達 成彦 特任准教授(研究当時、現:筑波大学 生存ダイナミクス研究センター 准教授)との共同研究により、生物の生命活動に必須なATPを作る酵素「ATP合成酵素」を人工的に改変し、これまで報告されている自然界に存在するどの酵素よりも高いエネルギー変換機能を持つATP合成酵素の開発に成功しました。この改変型ATP合成酵素は、ATP合成を駆動するプロトン駆動力が極めて小さい環境でもATPを合成できることが確認されました。これは、通常1つしかない酵素内の「プロトンの通り道」を3つに増やすという新しい分子設計によって世界で初めて実現されたものです。本研究により、生体内でのエネルギー変換メカニズムに新たな視点がもたらされ、将来的には細胞工学やバイオものづくりへの応用展開も期待されます。

本研究成果は、2025年7月3日(英国夏時間)に「Nature Communications」に掲載されました。

本研究は、科研費 新学術領域研究(No.JP21H00388)、同 挑戦的研究(萌芽)(No.JP23K18092)、同 基盤S(No.JP19H05624)、基盤B(No.JP24K01987)、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)(No.RGP0054/2020)、創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業 創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS:JP23ama121013、JP21am0101071)、科学技術振興機構(JST) 先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)「日英共同による人工光合成細胞システム開発」(研究代表者:野地 博行、No.JPMJAP24B5)の支援を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Engineering of ATP synthase for enhancement of proton-to-ATP ratio”
DOI:10.1038/s41467-025-61227-w

<お問い合わせ先>

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