大阪大学,神戸大学,科学技術振興機構(JST)

2025(令和7)年5月21日

大阪大学
神戸大学
科学技術振興機構(JST)

大気圧水素下でバイオマス由来フラン類の水素化反応を促進

~安価な非貴金属を基盤とする高機能性触媒を開発~

ポイント

大阪大学 大学院基礎工学研究科 水垣 共雄 教授、山口 渉 助教(研究当時)、川上 大輝さん(研究当時:博士前期課程)らの研究グループは、フルフラールをはじめとするバイオマス由来フラン類の液相水素化反応を効率的に促進する非貴金属ナノ粒子触媒を開発しました。開発した触媒は、従来の非貴金属触媒をしのぐ高い水素化触媒性能を持ち、大気圧水素下という極めて温和な条件下でもフルフラールの水素化反応を促進しました。

テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)は、グリーン溶媒や医薬中間体、ポリマー原料として利用される重要な化合物であり、バイオマス由来のフルフラールの水素化反応により合成されています。従来、本反応にはニッケルなどの安価な非貴金属を基盤とする触媒が用いられてきましたが、これらの触媒は数十気圧以上の水素圧をはじめとする厳しい反応条件を必要としました。したがって、より温和な反応条件下でフルフラールの水素化反応を促進する、高活性な非貴金属触媒の開発が求められてきました。

今回、本研究グループが開発した触媒は固体触媒であるため、遠心分離によって容易に反応液から回収できました。さらに、本触媒はフルフラール以外のバイオマス由来フラン類にも応用可能であり、対応するテトラヒドロフラン類を高選択的に与えました。安価で高活性な触媒の開発によって、低コストかつ省エネルギーでバイオマスから有用化合物を合成する持続可能な製造プロセスの構築に大きく貢献することが期待されます。

本研究成果は、米国科学誌「ACS Sustainable Chemistry & Engineering」に、2025年5月21日(水)(日本時間)に公開されました。

本研究は、科学研究費補助金(23H01761、24K01255)、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「材料の創製および循環に関する基礎学理の構築と基盤技術の開発」(JPMJPR24MB)、同 CREST「分解・劣化・安定化の精密材料科学」(JPMJCR21L5)の支援の元に行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Mild and Selective Hydrogenation of Furfural and Its Derivatives to Tetrahydrofurfuryl Compounds Catalyzed by Aluminum Oxide-supported Nickel Carbide Nanoparticles”
DOI:10.1021/acssuschemeng.5c01806

<お問い合わせ先>

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