京都大学,東京大学,科学技術振興機構(JST)

令和7年4月8日

京都大学
東京大学
科学技術振興機構(JST)

セルロースナノファイバーの欠陥を減らす

~バイオマス由来ナノ材料の用途拡大に向けて~

セルロースナノファイバーは、持続可能で高機能なナノ材料として注目されています。これは、植物に含まれるセルロースという成分をナノレベルまで細かくほぐして得られる、極めて細い繊維状の材料です。しかし、従来の作製方法では、セルロースナノファイバーに折れ曲がりや凹み(へこみ)といった「欠陥」が生じてしまうことがあるため、この欠陥を減らす方法の解明が求められていました。

東京大学 大学院農学生命科学研究科 伊藤 智樹 博士課程学生、齋藤 継之 教授、京都大学 大学院農学研究科 小林 加代子 助教らのグループは、欠陥が生じる原因の一部を特定し、それを抑えることで、規則的なねじれを持つ高品質なセルロースナノファイバーの作製に成功しました。セルロースナノファイバーを作るには、いくつかの工程を経る必要があります。そのなかでも、植物からセルロースを取り出す工程や、解きほぐしやすくするための化学処理を行う工程を「穏やかな条件」で進めることが重要であると分かりました。

この研究の成果は、セルロースナノファイバーが本来の優れた特性を最大限に発揮するための基盤となるものであり、その幅広い応用につながると期待されます。

本研究成果は、2025年4月7日(現地時間)にアメリカの国際学術誌「Nano Letters」にオンライン掲載されました。

本研究は、主として科学技術振興機構(JST) CREST(JPMJCR22L3)の支援により実施されました。その他、日本学術振興会 科学研究費(21H04733、22KJ1473、23H02270、23KJ0523)による支援を受けました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Defectless and Uniform Single-Crystallite Dispersions of Sustainable Wood Nanocellulose with a Regulated Right-Handed Twist Periodicity”
DOI:10.1021/acs.nanolett.4c06483

<お問い合わせ先>

前に戻る