京都大学,広島大学,基礎生物学研究所,近畿大学,科学技術振興機構(JST)

令和7年4月7日

京都大学
広島大学
基礎生物学研究所
近畿大学
科学技術振興機構(JST)

雌雄異株から雌雄同株への進化に伴う性染色体の運命とは

~コケ植物の有性生殖システム転換における染色体再編成の解明~

京都大学 生命科学研究科の安居 佑季子 准教授、下川 瑛太 博士課程学生、田中 知葉 修士課程学生(研究当時)、梅谷 結佳 修士課程学生、川村 昇吾 博士課程学生(研究当時)、河内 孝之 教授らの研究グループは、チューリッヒ大学のPéter Szövényi 博士、広島大学 大学院統合生命科学研究科の嶋村 正樹 准教授、基礎生物学研究所 トランスオミクス解析室の山口 勝司 主任技術員、重信 秀治 教授、近畿大学 生物理工学部の大和 勝幸 教授らの研究グループとの共同研究により、半数体世代で性を決定するコケ植物の性染色体が、雌雄異株から雌雄同株へと進化する過程においてどのような運命を辿るのかについて、共通する進化の道筋を明らかにしました。

有性生殖は生物にとって普遍的な繁殖システムですが、その基盤となる性決定は非常に多様です。ヒトを含め、性染色体を持つ生物はメスとオスが別個体として存在する雌雄異体ですが、性染色体を持たず1つの個体中にメス機能とオス機能の両方を合わせ持つ雌雄同体の生物も存在しています。雌雄異株から雌雄同株への進化の過程で性染色体を含む染色体がどのような運命を辿るかは多くが未解明の状態でした。今回、コケ植物苔(タイ)類の雌雄同株アカゼニゴケのゲノムを解読し、比較ゲノム解析を行うことで、アカゼニゴケは祖先が持っていたオスの性染色体由来の染色体を保持する一方で、必須の遺伝子を他の染色体へ移した後にメスの性染色体を消失していることを明らかにしました。さらに既に報告があった別の雌雄同株のタイ類のゲノムとの比較から、これらの進化は偶然に起きたことではなく、タイ類の性染色体として運命付けられていたことが示唆されました。

本成果は2025年4月2日に国際誌「Cell Reports」に掲載されました。

本研究は、日本学術振興会(JSPS) 学術変革領域(A)「挑戦的両性花原理」(23H04744、22H05172)、研究基盤C(21K06228)、研究基盤A(22H00417)、国際先導加速基金(22K21352)、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業「陸上植物の単相世代における有性生殖システムの進化」(JPMJFR2256)、基礎生物学研究所 統合ゲノミクス共同利用研究(23NIBB441、24NIBB428)等により支援されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Insights into convergent evolution of cosexuality in liverworts from the Marchantia quadrata genome”
DOI:10.1016/j.celrep.2025.115503

<お問い合わせ先>

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