京都府立医科大学,理化学研究所,科学技術振興機構(JST)

令和7年4⽉5⽇

京都府立医科大学
理化学研究所
科学技術振興機構(JST)

咳と嚥下のスイッチ 喉に新たな感覚器官を発見

~咳治療に道筋、喉ごし感覚の⼀端か~

ポイント

京都府立医科大学 大学院医学研究科 細胞生理学 樽野 陽幸 教授らは、理化学研究所 生命医科学研究センター 応用ゲノム解析技術研究チーム 岡﨑 康司 チームリーダーらとの共同研究により、マウスを用いた実験で、苦味のある毒素を含む植物抽出物、タバコの煙、空気汚染物質、病原体関連物質など多様な侵害化学物質に対して生じる咳や嚥下を担う喉の感覚細胞を新たに発見しました。さらに、これらの細胞がアレルギー性の咳過敏症に関与することを明らかにしました。

本研究は、喉(咽頭および喉頭)に希少に存在する新規の感覚器官を発見しその機能を分子レベルで解明したもので、外界からの刺激に対する生体の応答機序の理解を前進させるものです。咳の症状が長期間続く慢性咳嗽は患者の生活の質を著しく損ないますが、原因不明または難治性の症例が多く見られます。本研究成果をもとに、今後、この咳の機序がヒトにも存在することが明らかになれば、慢性咳嗽の診断および治療法に新たな道筋を与えることが期待されます。

本件に関する論文は、科学雑誌「Cell」に2025年4月5日(日本時間)に掲載されます。

本研究は、以下の研究費の支援を受けて行われました。

樽野 陽幸

科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR21P3)

さきがけ(JPMJPR1886)

日本学術振興会 科研費(23H00400/20K21505/20H04908/19H03819/16K15181)

ソルト・サイエンス研究助成(20C2)、内藤記念科学技術振興財団、武田科学振興財団、浦上食品・食文化振興財団

岡﨑 康司

日本医療研究開発機構(AMED) BINDS(JP20am0101102)

大野 伸彦

日本学術振興会 科研費(24H00583/JP22H04926/21H05241)

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Channel synapse mediates neurotransmission of airway protective chemoreflexes”
DOI:10.1016/j.cell.2025.03.007

<お問い合わせ先>

(英文)“Channel synapse mediates neurotransmission of airway protective chemoreflexes”

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