大阪大学,科学技術振興機構(JST)

令和7年3月4日

大阪大学
科学技術振興機構(JST)

精子の形成に必要なたんぱく質複合体を発見

~細胞質を除去できず折れ曲がる精子~

ポイント

大阪大学 大学院薬学研究科 大学院生の金田 侑樹さん(博士後期課程)、大阪大学 ヒューマン・メタバース疾患研究拠点(WPI-PRIMe)のLu Yonggang特任准教授、大阪大学 微生物病研究所の宮田 治彦 准教授、伊川 正人 教授らの研究グループは、TEX38/ZDHHC19たんぱく質複合体が精子の形成を制御する機構を世界で初めて明らかにしました。

精子形成中に精子細胞内の細胞質は取り除かれ、完成した精子に細胞質はほとんど残っていません。細胞質の除去は精子形成に重要ですが、その制御機構はほとんど分かっていませんでした。今回研究グループは、TEX38とZDHHC19が複合体を形成することで安定化し、ZDHHC19が脂質修飾により細胞質の除去を制御することを明らかにしました。細胞質が正しく除去されない精子は折れ曲がってしまい、卵子と受精できないことも分かりました。本研究成果は男性不妊の原因究明や、脂質修飾に着目した男性避妊薬の開発につながると期待されます。

本研究成果は、米国科学誌「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、PNAS)」 に2025年3月4日(火)(日本時間)以降に公開されます。

本研究は、JST 創発的研究支援事業(FOREST、JPMJFR211F)の一環として行われました。そのほか、日本学術振興会(科研費)、公益財団法人武田科学振興財団、アメリカ国立衛生研究所(NIH)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を得て行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“TEX38 localizes ZDHHC19 to the plasma membrane and regulates sperm head morphogenesis in mice”
DOI:10.1073/pnas.2417943122

<お問い合わせ先>

(英文)“Uncovering the protein complex critical to male fertility”

前に戻る