東京大学,科学技術振興機構(JST)

令和7年2月26日

東京大学
科学技術振興機構(JST)

自己成長する人工細胞モデルの構築

~原始生命の進化プロセスと基本原理の解明に期待~

ポイント

東京大学 大学院工学系研究科の藪田 萌 大学院生、皆川 慶嘉 助教、野地 博行 教授のグループは、立教大学 大学院理学研究科の末次 正幸 教授と共同で、DNA自己複製により自律成長する人工細胞モデルの構築に初めて成功しました。本研究では、ポリエチレングリコール(PEG)とデキストラン(DEX)という2種類のポリマーからなる水性二相分離がDNAの濃縮によって安定化されるという発見に基づき、複製酵素を合成し、それが自身の遺伝子をコードするDNA分子を増幅・複製することで10倍以上体積を増加させる自律成長する人工細胞モデルの構築に成功しました。これにより、遺伝子発現・DNA複製・成長が連動する人工細胞の実現に初めて至りました。この成果から自律的に進化する人工細胞の開発のための基盤技術になることが期待されます。加えて、原始生命の進化プロセスを研究するためのモデルとしても有望であると考えられます。

本研究成果は、2025年2月26日(英国時間)付で「Nature Communications」に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「長鎖DNA合成と自律型人工細胞創出のための人工細胞リアクタシステム」(No.JPMJCR19S4)、同 GteX「超並列たんぱくプリンタシステムの開発」(No.JPMJGX23B1)、同 ASPIRE「日英共同による人工光合成細胞システム開発」(No.JPMJAP24B5)、科研費「基盤S(No.JP19H05624)」特別研究員奨励費「濃縮されたDNAにより安定化される相分離液滴を容器とした、進化する人工細胞の構築」(No.JP22KJ1130)の支援を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Self-growing protocell models in aqueous two-phase system induced by internal DNA replication reaction”
DOI:10.1038/s41467-025-56172-7

<お問い合わせ先>

(英文)“Development of Self-Growing Protocell Model: Exploiting the Stabilization of Phase Separation by DNA”

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