京都大学 大学院生命科学研究科 木村 郁夫 教授、同大学 清水 秀憲 共同研究員、東京農工大学 大学院農学研究院 宮本 潤基 准教授らの研究グループは、約500人のヒト健常者および肥満症患者の便検体を指標に、砂糖(スクロース)誘発性の肥満を抑制するバイオマーカーとして、ヒト消化管常在細菌の1種であるStreptococcus salivarius(S.salivarius)を特定しました。このS.salivariusは、摂取した炭水化物中の過剰なスクロースを腸内で有益な食物繊維様物質である難消化性菌体外多糖(EPS)に変換することで、宿主の糖吸収を抑えるだけでなく、腸内環境を改善し、スクロース誘発性の肥満を防いでいることが明らかになりました。
今回の発見は、肥満や糖尿病などの代謝性疾患の予防や治療法に新たな概念を提唱するものであり、これら食物繊維様物質であるEPSやEPS産生菌は、腸内環境の改善を指標とした糖尿病などを含む肥満症を超早期の未病段階で検出する技術や、新しいタイプの肥満予防・治療につながることが大いに期待されます。
本研究成果は、2025年1月29日(現地時間)に国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端研究開発支援事業 AMED-CREST(研究開発総括:永井 良三、研究開発代表者:木村 郁夫)、同 革新的先端研究開発支援事業 AMED-CREST(研究開発総括:笹川 千尋、研究開発代表者:木村 郁夫)、日本学術振興会(JSPS)の科学研究費助成事業(研究代表者:木村 郁夫)、科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標2(PM:片桐 秀樹、課題代表者:木村 郁夫、グラント番号:JPMJMS2023)、同 産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)(領域総括:三沢 和彦、課題代表者:木村 郁夫、グラント番号:JPMJOP1833)の一環で行われました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Sucrose-preferring gut microbes prevent host obesity by producing exopolysaccharides”
- DOI:10.1038/s41467-025-56470-0
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