ポイント
- 空隙(くうげき)を含む酸化銅ナノワイヤをナノギャップ電極間に配置した水素ガスセンサを開発
- 従来の水素ガスセンサと比較して、1桁低濃度の水素(5ppb)を検出可能
- リチウムイオンバッテリーの劣化防止への応用に期待
東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 フロンティア材料研究所の真島 豊 教授の研究グループは、酸化銅ガスセンサのナノ構造に注目し、空隙を含むナノワイヤナノギャップガスセンサとすることで、従来のガスセンサと比較して、1桁低濃度の水素を検出可能な水素ガスセンサを開発することに成功しました。
水素ガスセンサは、エネルギー・環境分野、医療・健康分野、安全分野などさまざまな用途で利用されていますが、リチウムイオンバッテリーの長寿命化、水素社会の実現、生活の質(QOL)の向上などに貢献するには、その高感度化・高機能化が欠かせません。
本研究では、金属酸化物半導体型酸化銅ガスセンサにおいて、電子線リソグラフィ(EBL)を用いてナノギャップ電極間に銅ナノワイヤを作製しました。その後、2段階の加熱処理を用いて銅を酸化させ、酸化銅ナノワイヤに空隙を形成することで、ナノ微細構造とガスセンサ応答の関係を検討しました。その結果、5ppb(10億分の1の割合(10億分率)で表す単位、10-7パーセントのこと)という超低濃度の水素ガスに応答することが分かりました。本研究で開発した空隙を含む酸化銅ナノワイヤナノギャップガスセンサは、従来センサと比較して、1桁低濃度の水素を検出可能です。
今後、検出したいガスに応じて最適なガス検出材料を選択し、ナノギャップガスセンサを構築することで、多様なガスに対するガスセンサでも高速化・高機能化することが可能であるため、産業用途への幅広い応用が期待されます。
今回の成果は、ガスセンサ分野で最も権威のある学術誌の1つである「Advanced Functional Materials」のオンライン版に11月5日に掲載されます。
本研究は、文部科学省 データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト、科学技術振興機構(JST) 知財活用支援事業スーパーハイウェイ「ナノワイヤ水素ガスセンサ」、同 戦略的創造研究推進事業 CREST「光配向単分子架橋共鳴トンネルトランジスタのシステム機能化」(JPMJCR22B4)の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(1.11MB)
<論文タイトル>
- “Nano-Patterned CuO Nanowire Nanogap Hydrogen Gas Sensor with Voids”
- DOI:10.1002/adfm.202415971
<お問い合わせ先>
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