東北大学,日本電気株式会社,科学技術振興機構(JST)

令和6年10月14日

東北大学
日本電気株式会社
科学技術振興機構(JST)

テラバイトスケールのコンピューターメモリーを
安全で高効率に暗号化できる新技術を開発

~遅延63パーセント抑制、性能低下44パーセント抑制、攻撃から復旧まで
数千倍高速化 安全で快適なクラウド活用に寄与~

ポイント

普段の生活や社会・経済活動に必要不可欠なパーソナルコンピューター(PC)やスマートフォンでは、個人情報や機密情報などの情報を処理・格納するメモリーデータの機密性、および改ざん検知を実現するメモリーセキュリティ(メモリー暗号化)が必要とされています。しかし、近年の大容量化するメモリーにおいてデータの安全性、性能、そして利便性を損なわずに暗号化を実現することは特に難しく、安全なコンピューターの実現における大きな障壁となっていました。

東北大学 電気通信研究所の本間 尚文 教授らのグループは、日本電気株式会社(以下、NEC)と共同で、安全性を担保したまま、性能と利便性(レジリエンス性)を飛躍的に向上させたメモリー暗号化機構の新方式を開発しました。本機構は、メモリー暗号化に伴うコンピューターの負荷を大きく削減するとともに、テラバイト級の大容量メモリーにも効率的に適用が可能です。またこれまでの方式と比べ、開発した方式は暗号化による遅延を最大約63パーセント、メモリーの性能低下を約44パーセント抑制でき、偶発的なメモリーエラーやメモリー改ざんなどのメモリーデータへの攻撃検知から復旧までの時間を数千倍高速にできることを明らかにしました。今後、開発した方式により、多様なコンピューターにおいてデータ保護と安全なデータ利活用に貢献することが期待されます。

本成果は2024年10月14日から18日に米国計算機学会(ACM)が開催するコンピューターセキュリティーに関する国際会議「ACM SIGSAC Conference on Computer Communications Security(CCS)」において発表されます。

本研究成果は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「Society5.0を支える革新的コンピューティング技術」研究領域(研究総括:坂井 修一)「耐量子計算機性秘匿計算に基づくセキュア情報処理基盤」(研究代表者:本間 尚文、グラント番号:JPMJCR19K5)の事業・研究課題の助成により得られました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Crystalor:Recoverable Memory Encryption Mechanism with Optimized Metadata Structure”

<お問い合わせ先>

前に戻る