理化学研究所,科学技術振興機構(JST)

令和6年9月30日

理化学研究所
科学技術振興機構(JST)

触媒寿命の数理モデル

~電極触媒の耐久性予測に向けて~

理化学研究所(理研) 環境資源科学研究センター 生体機能触媒研究チームの大岡 英史 研究員、中村 龍平 チームリーダーらの共同研究グループは、電極触媒の寿命を理解するための数理モデルを開発しました。

本研究成果は、触媒寿命を予測する技術の土台になり、電気分解による水素製造や燃料電池などに必要な電極触媒の開発促進に貢献すると期待されます。

水の電気分解(水電解)は環境親和性の高い水素製造技術として注目されています。この技術を社会に広く普及させるためには、長期間継続して使える電極触媒が必要です。しかし、材料の寿命を予測することが困難なため、新材料を開発するためには長期にわたる耐久性実験が必要です。今回、共同研究グループは触媒寿命を説明するための数理モデルを構築し、このモデルが実験で得られた傾向を説明できることを明らかにしました。

本研究成果は、科学雑誌「The Journal of Physical Chemistry Letters」オンライン版(2024年9月30日付)に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業「非平衡状態における触媒反応ネットワーク理論の開拓(研究代表者:大岡 英史、JPMJFR213E)」、同 革新的GX技術創出事業(GteX)「グリーン水素製造用革新的水電解システムの開発(チームリーダー:高鍋 和広、JPMJGX23H2)」、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業 若手研究「反応速度論と機械学習による酸素発生触媒の活性予測(研究代表者:大岡 英史、22K14774)」、同 学術変革領域研究(A)「化学班:CO環境で駆動される前駆代謝システムの実証(研究代表者:北台 紀夫、22H05153)」、文部科学省 データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト「再生可能エネルギー最大導入に向けた電気化学材料研究拠点(DX-GEM、研究代表者:杉山 正和、JPMXP1122712807)」、そして内藤科学技術振興財団「Feinberg理論を用いた化学工学に生じる反応現象の解明と制御(研究代表者:小松 弘和、104002)」による助成を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Microkinetic Model to Rationalize the Lifetime of Electrocatalysis: Tradeoff Between Activity and Stability”
DOI:10.1021/acs.jpclett.4c02162

<お問い合わせ先>

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