ポイント
- テラヘルツ波の偏波という性質に着目し、小型デバイスで経路を制御できる技術を開発
- 有効媒質と空隙構造の利用で100ギガヘルツ以上の広い帯域幅を実現
- 6Gおよび未来の情報通信技術の発展に寄与
大阪大学 大学院基礎工学研究科の冨士田 誠之 准教授、永妻 忠夫 教授(研究当時、現:大阪大学 産業科学研究所 特任教授)、Weijie Gao(ウエイジエ・ガオ) 特任研究員(常勤)らは、オーストラリア アデレード大学のWithawat Withayachumnankul(ウィザワット・ウィザヤチュムナンクル) 教授(大阪大学 大学院基礎工学研究科 招へい教員を兼務)、Christophe Fumeaux(クリストフ・フュモー) 教授(研究当時、現:オーストラリア クイーンズランド大学 教授)、大阪産業技術研究所の村上 修一 電子デバイス研究室長と共同で、テラヘルツ波の偏波を100ギガヘルツ(0.1テラヘルツ)以上の広帯域幅で経路を制御し、多重化・分離できる小型デバイスの開発に成功しました。
電波と光の中間領域の周波数を持つ電磁波であるテラヘルツ波は、次世代の移動通信システム「6G」(GはGeneration、世代を意味する)における超高速無線通信への応用が期待されています。通信容量の増大、あるいは双方向通信の実現に向けて、現在、第5世代移動通信システム「5G」で利用されている28ギガヘルツ帯の最大帯域幅0.4ギガヘルツよりも2桁、あるいは、今後、40ギガヘルツ帯で割り当て予定の6.5ギガヘルツよりも1桁以上広い帯域幅でテラヘルツ波の経路を制御できる新たな技術の開発が求められています。
本研究グループは、テラヘルツ波の偏波の性質に着目し、直交した2つの偏波を多重化あるいは分離することで、同じ周波数帯域で倍の伝送容量、あるいは双方向通信が可能になる技術を開発しました。
本研究成果は、独国科学誌「Laser&Photonics Reviews」に2024年8月30日(金)にオンライン掲載されます。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「情報担体を活用した集積デバイス・システム」研究領域における研究課題「時空間分布制御テラヘルツ集積デバイスシステムの創成」(研究代表者:冨士田 誠之、課題番号JPMJCR21C4)の一環として行われ、その一部は情報通信研究機構 Beyond 5G 研究開発促進事業および、Australia Research Council Discovery grantの支援を受けました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(1.36MB)
<論文タイトル>
- “Ultra-wideband terahertz integrated polarization multiplexer”
- DOI:10.1002/lpor.202400270
<お問い合わせ先>
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