ポイント
- 新しい材料設計指針により鉄系超伝導材料SmFeAsO1-xHx薄膜を創製し、液体ヘリウム沸点温度(マイナス269度)下で鉄系超伝導材料における世界最高の臨界電流密度(電気抵抗ゼロで流せる電流密度)を達成した。
- 本研究で創製したSmFeAsO1-xHx薄膜は、25テスラの高磁場下において鉄系超伝導材料の中で最も高い臨界電流密度を達成。この特性は、すべての超伝導材料の中で最も臨界電流密度が高い銅酸化物高温超伝導材料YBa2Cu3Oy薄膜に匹敵する特性である。
- 本材料設計指針を用いることでSmFeAsO1-xHxとは異なる超伝導材料(YBa2Cu3Oy,BaFe2(As1−xPx)2,FeSe1-xTex)においても飛躍的な臨界電流密度向上に成功。今後、本材料設計指針が幅広い超伝導材料の臨界電流密度向上に大いに貢献することが期待される。
成蹊大学 大学院理工学研究科の三浦 正志 教授は、東京工業大学 細野 秀雄 栄誉教授、平松 秀典 教授らと共に、新材料設計指針である「キャリア密度制御と磁束ピン止め点制御の融合」により鉄系超伝導材料SmFeAsO1-xHx薄膜を創製し、液体ヘリウム沸点温度(マイナス269度)で25テスラの高磁場下まで鉄系超伝導材料の中で最も高い臨界電流密度を達成。また、本材料設計指針により種類の異なる超伝導材料においても世界最高レベルの臨界電流密度を達成し、幅広い超伝導材料への本材料設計指針の有効性を確認しました。
本研究成果は、英国科学誌Nature姉妹論文誌「Nature Materials」(オンライン:2024年7月18日(日本時間))に掲載されます。
本研究は、主に科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業 研究課題 JPMJFR202G「新材料設計指針により対破壊電流密度に挑む(研究代表者:三浦 正志 成蹊大学 大学院理工学研究科 教授/リーディングリサーチャー)」の支援を受けて行われました。また、東京工業大学における研究は、文部科学省 元素戦略プロジェクト/研究拠点形成型 東工大 元素戦略拠点 研究課題 JPMXP0112101001の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(4.9MB)
<論文タイトル>
- “Quadrupling the depairing current density in the iron-based superconductor SmFeAsO1-xHx”
- DOI:10.1038/s41563-024-01952-7
<お問い合わせ先>
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