ポイント
- トランスファーRNAのメチル化酵素「TRMT10A」を失うと、特定のトランスファーRNA量が全身で減ることを解明しました。
- TRMT10Aを失うと脳で神経関連たんぱく質の合成が乱れ、シナプスの構造と機能が異常をきたすことで脳組織の機能が低下することを解明しました。
- トランスファーRNAの修飾を失うことで発症する知的障害やてんかんを始めとした「RNA修飾病」の一般原理を解明する研究とその応用による今後の脳の病気の治療への波及が期待されます。
熊本大学大学院 生命科学研究部の富澤 一仁 教授、中條 岳志 講師、ローランド・トレスキー 大学院生(当時)の研究チームは、トランスファーRNA(tRNA)を修飾する酵素の一種であるTRMT10Aの変異により知的障害が発症する仕組みを解明しました。さまざまなtRNA修飾酵素の欠失が知的障害を引き起こしますが、これまで発症の詳細な仕組みは大部分が未解明であったため、今後の知的障害の治療の進展につながる可能性があります。
本研究成果は、日本時間2024年7月2日(火)に英国科学雑誌「Nucleic Acids Research」に掲載されます。
本研究は、科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業「RNA修飾編集技術の創発とその治療への応用」(課題番号:JPMJFR204Z、研究代表者:中條岳志)および日本学術振興会科学研究費助成事業(課題番号:20H03187、研究代表者:中條岳志)などの支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “TRMT10A dysfunction perturbs codon translation of initiator methionine and glutamine and impairs brain functions in mice”
- DOI:10.1093/nar/gkae520
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