ポイント
- 心不全は一度発症すると再発を繰り返し、他の病気にもよくかかること(多病)が特徴ですが、その仕組みは不明でした。今回、心不全が「なぜ再発するのか」「どのように他の臓器に影響するのか」の仕組みを明らかにしました。
- 心不全になると、そのストレスが血液の源である造血幹細胞に蓄積することを発見しました。
- 心不全の再発予防法、新しい治療法の開発につながり、生命予後の改善に貢献することが期待できます。
東京大学 大学院医学系研究科の藤生 克仁 特任教授と、小室 一成 特任教授(国際医療福祉大学 副学長 兼任)、千葉大学 大学院医学研究院の眞鍋 一郎 教授らによる研究グループは、「心不全がなぜ再発するのか」を明らかにしました。
本研究では、心不全の臨床経過の特徴である「一度心不全を発症すると、入退院を繰り返す」「他の病気にも影響する」という点に着目し、「心不全になると、そのストレスがどこかに蓄積する」と仮説を立てて研究を行いました。その結果、心不全になった際にストレスが骨の中にある造血幹細胞に蓄積することを見いだしました。造血幹細胞は、心臓に対して心臓を保護する免疫細胞を供給しますが、ストレスが蓄積している造血幹細胞はその保護的な免疫細胞を作り出すことができず、これが心臓の機能悪化を引き起こし、再発しやすい原因となることが分かりました。
現在不治の病である心不全に対して、ストレスの蓄積を除去する方法の開発などによって新規予防法、治療法につながることが期待できます。
本研究成果は、2024年5月24日(現地時間)に国際科学雑誌「Science Immunology」に掲載されます。
本研究は、科学技術振興機構(JST) ムーンショット型研究開発事業(ムーンショット目標2:2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現)「恒常性の理解と制御による糖尿病および併発疾患の克服」(課題番号:JPMJMS2023)、日本医療研究開発機構(AMED) 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業「心不全が惹起するサルコペニアの新しい発生機序の解明」(課題番号:24ek0210193h0002)」、AMED 革新的先端研究開発支援事業「心血管ストレスの新しい感知・統合機構による恒常性維持機構とその破綻機序の解明」(課題番号:22gm6510010h0002)」、科研費 基盤研究(A)「心臓内免疫細胞の機能異常と老化による心不全発症機序の解明(課題番号:24H00631)」、基盤研究(B)「造血・免疫系による身体・精神ストレス受容と心不全・multimorbidity発症機序の解明」(課題番号:23K27592)の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(597KB)
<論文タイトル>
- “Heart failure promotes multimorbidity through innate immune memory”
- DOI:10.1126/sciimmunol.ade3814
<お問い合わせ先>
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<研究に関すること>
藤生 克仁(フジウ カツヒト)
東京大学 大学院医学系研究科 先進循環器病学 特任教授 ※東京大学医学部附属病院内
眞鍋 一郎(マナベ イチロウ)
千葉大学 大学院医学研究院 疾患システム医学 教授
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<JST事業に関すること>
松尾 浩司(マツオ コウジ)
科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
Tel:03-5214-8419 Fax:03-5214-8427
E-mail:moonshot-infojst.go.jp
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<報道担当>
東京大学 医学部附属病院 パブリック・リレーションセンター
担当:渡部、小岩井
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E-mail:pradm.h.u-tokyo.ac.jp
国際医療福祉大学 東京事務所 広報部
担当:赤津
Tel:03-5574-3828
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千葉大学 広報室
Tel:043-290-2018(直通)
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科学技術振興機構 広報課
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