ポイント
- 還元剤と分子性カチオンが協奏的に作用する有機半導体の電子ドーピング(添加)技術を開発しました。
- 本手法によりさまざまな分子性カチオンの導入が可能になり、大気下におけるドーピング状態の寿命を100倍程度も向上させる材料を発見しました。
- これまで安定性に懸念のあった電子ドーピングをさまざまな光・電子デバイスにおいて活用する取り組みが進展すると期待されます。
東京大学 大学院新領域創成科学研究科、物質・材料研究機構(NIMS)、ジョージア工科大学、コロラド大学ボルダー校からなる国際共同研究グループは、還元剤と分子性カチオンが協奏的に作用する独自の電子ドーピング技術を開発しました。これにより、電子とさまざまな分子性カチオンを有機半導体に導入することが可能になり、安定性が非常に高いドーピングを実現しました。さらに、導入する分子性カチオンを自在に探索できるようになったことで、ドーピング状態の寿命を従来の手法より100倍程度向上させる材料を発見しました。
本手法によりドーピングの安定性が飛躍的に向上したことで、電子ドーピングのデバイス活用が容易になります。今後、有機半導体を用いた低コスト、フレキシブルな光・電子機能デバイスの高性能化の取り組みが加速すると期待できます。
本研究成果は、国際科学雑誌「Communications Materials」2024年5月21日版に掲載されます。
本研究の日本における取り組みは、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST研究領域「未踏探索空間における革新的物質の開発(課題番号:JPMJCR21O3)」ならびに日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(課題番号:22H02160)の一環として行われました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “N-type molecular doping of a semicrystalline conjugated polymer through cation exchange”
- DOI:10.1038/s43246-024-00507-2
<お問い合わせ先>
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