長浜バイオ大学,名古屋大学,科学技術振興機構(JST)

※プレスリリース資料1ページ目「ポイント」欄の一部に誤りがあったため、差し替えました(令和6年5月13日)。

令和6年5月10日

長浜バイオ大学
名古屋大学
科学技術振興機構(JST)

遺伝子組み換え困難な細菌を遺伝子組み換えしやすく改変

~バイオものづくりへの応用に期待~

ポイント

JST 戦略的創造研究推進事業において、長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部の石川 聖人 准教授と名古屋大学 大学院工学研究科の堀 克敏 教授は、遺伝子組み換えが困難な細菌Acinetobacter属Tol 5株を、遺伝子組み換えが容易な細菌へと改変することに成功しました。

微生物を用いた物質生産、いわゆるバイオものづくりは、従来の化石資源を原料としたさまざまな製造プロセスを置き換える「持続可能なものづくり」として注目を集めています。効率的な物質生産には、バイオものづくりに適した微生物の作出が不可欠ですが、その基礎となる微生物のことを基盤微生物といいます。自然界に存在する有用な細菌の多くは、生産機能向上や機能改変のための遺伝子組み換えが困難であるため、基盤微生物としては利用しづらい課題がありました。本研究グループは、バイオものづくりに有望な細菌として、多様な炭化水素を栄養素として利用でき、生産物質回収が容易なAcinetobacter属細菌Tol 5に注目して研究を進めていますが、これも他の細菌と同様に遺伝子組み換えが困難でした。

本研究では、Tol 5株で遺伝子組み換えを困難にしている要因が、外来DNAに対する防御機構であることを解明しました。さらに、Tol 5株の2つの制限酵素の遺伝子を欠損させると、遺伝子組み換え効率が劇的に向上することを明らかにしました。つまり、2つの制限酵素遺伝子を欠損したTol 5株は、遺伝子導入・組み換えDNA構築・ゲノム編集技術の1つである塩基編集が適用可能な遺伝子組み換えしやすい細菌となりました。

遺伝子組み換えしやすくなったTol 5株はバイオものづくりの基盤微生物としての活用が期待されます。加えて、制限酵素の遺伝子を欠損させると遺伝子組み換えの効率が上がるという本研究における知見は、遺伝子組み換え困難な微生物を遺伝子組み換えしやすくするアプローチとして有効であり、未活用微生物への適用により、バイオものづくりの基盤微生物に多様性を与えることに役立つことが期待されます。

本研究成果は、2024年5月9日(米国東部時間)発行のアメリカ微生物学会科学誌「Applied Environmental Microbiology」に掲載されました。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)

「ゲノムスケールのDNA設計・合成による細胞制御技術の創出」
(研究総括:塩見 春彦 慶應義塾大学 教授)
リピート配列の相同組換えを保護する細菌ゲノムの分子基盤
(グラント番号 JPMJPR20K2)
石川 聖人(長浜バイオ大学 准教授)
名古屋大学・長浜バイオ大学
令和2年11月~令和6年3月

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“The elimination of two restriction enzyme genes allows for electroporation-based transformation and CRISPR-Cas9-based base-editing in the non-competent Gram-negative bacterium Acinetobacter sp. Tol 5.”

<お問い合わせ先>

前に戻る