ポイント
- アンチセンス核酸医薬(ASO)は、神経難病に対する新たな治療手段として期待されていますが、多くの疾患への応用には副作用のため投与量に制限があることが大きな障害となっています。
- 本研究グループは、核酸医薬の有効性を保ちつつ、神経系の副作用を著しく改善する新規の核酸化学修飾技術を見いだしました。
- 本研究成果は、根治治療の難しい神経難病に対する高い有効性と安全性を兼ね備えた治療薬開発への応用が期待できます。
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 脳神経病態学分野の横田 隆徳 教授、吉岡 耕太郎 特任助教、Su Su Lei Mon 特任研究員、松林 泰毅 大学院生らの研究グループは、大阪大学 大学院薬学研究科 生物有機化学分野の小比賀 聡 教授らのグループとの共同研究で、核酸塩基を修飾した糖部架橋型核酸「BNAP-AEO」による新規の核酸化学修飾技術を新たに導入したASOを、マウスを用いて検証したところ、高い有効性を保持しつつ重篤な神経系の副作用を劇的に改善することを明らかにしました。さらに、研究グループはその副作用改善のメカニズムを検証し、脳内に存在するSigma-1受容体の関与を示唆する結果を得ました。
研究成果は、国際科学誌「Molecular Therapy-Nucleic Acids」に、2024年3月18日(米国東部時間)にオンライン版で発表されます。
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)「先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業」、「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(RNA標的創薬技術開発)」、「脳とこころの研究推進プログラム(領域横断的かつ萌芽的脳研究プロジェクト)」、科学技術振興機構(JST)「創発的研究支援事業(JPMJFR216H)」、日本学術振興会(JSPS)「科研費助成事業(基盤研究(B)JP22H02979)」などの支援のもとで行われたものです。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(676KB)
<論文タイトル>
- “Favorable Efficacy and Reduced Acute Neurotoxicity by Antisense Oligonucleotides with 2',4'-BNA/LNA with 9-(aminoethoxy)phenoxazine”
- DOI:10.1016/j.omtn.2024.102161
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