東京大学,科学技術振興機構(JST)

令和6年3月1日

東京大学
科学技術振興機構(JST)

新発見:ファンデルワールス層状準結晶の超伝導

~第3の固体「準結晶」の超伝導発現機構の解明に糸口~

ポイント

東京大学 生産技術研究所の徳本 有紀 講師、枝川 圭一 教授らの研究グループは、東京理科大学 先進工学部の田村 隆治 教授らのグループと共同で、結晶、アモルファスとは異なる第3の固体「準結晶」の構造秩序を持ったタンタル–テルル(Ta–Te)系ファンデルワールス層状物質の低温電子物性を調べ、この物質が1ケルビン以下の温度域で超伝導性を示すことを発見しました。

ファンデルワールス層状物質は、構造の2次元性を反映した特異な物性、およびそれを利用した新奇デバイス開発への期待から、近年、盛んに研究されていますが、従来研究対象となっていたものはいずれも周期的な原子配列を持った「結晶」です。結晶とは本質的に異なる原子配列秩序を持ったファンデルワールス層状「準結晶」において、今回世界で初めて、超伝導が発見されました。この発見は、いまだ解明されていない準結晶超伝導の発現機構の解明につながるものと期待されます。また、本研究は、この新物質群の物性研究の足がかりとなるもので、これを利用した新奇デバイスの開発につながることが期待されます。

本成果は、2024年3月1日(英国時間)に「Nature Communications」のオンライン版で公開されます。

本研究は、JST「CREST(課題番号:JPMJCR22O3)」、JSPS 科研費「新学術領域研究(課題番号:JP19H05821)」、「基盤研究(C)(課題番号:JP23K04355)」の支援により実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Superconductivity in a van der Waals layered quasicrystal”
DOI:10.1038/S41467-024-45952-2

<お問い合わせ先>

前に戻る