ポイント
- 摂食時の肝臓において、野生型マウスと肥満モデルマウスの差分トランスオミクスネットワークを構築し、肥満に伴う代謝異常の全容を明らかにしました。
- 肥満モデルマウスを使った絶食時の代謝異常の研究は数多くありましたが、摂食時のトランスオミクスネットワーク解析は本研究によって初めて行われました。その結果、絶食時とは異なる点を数多く見いだしました。
- 摂食時のトランスオミクスネットワークを絶食時のトランスオミクスネットワークと比較することによって、肥満における代謝異常のメカニズム解明や代謝疾患の予防や治療に役立つと考えられます。
東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻の白 云帆 特任研究員、黒田 真也 教授、附属遺伝子実験施設の守田 啓悟 助教らによる研究グループは、奈良先端科学技術大学院大学の小鍛治 俊也 助教、新潟大学 大学院医歯学総合研究科の松本 雅記 教授、幡野 敦 助教、東京医科歯科大学 M&Dデータサイエンスセンターの大野 聡 講師、理化学研究所 生命医科学研究センターの柚木 克之 チームリーダー、金沢大学 新学術創成研究機構の井上 啓 教授、稲葉 有香 准教授、東京大学 大学院新領域創成科学研究科の鈴木 穣 教授、九州大学 生体防御医学研究所の馬場 健史 教授、和泉 自泰 准教授、高橋 政友 助教、慶應義塾大学 先端生命科学研究所の曽我 朋義 教授、平山 明由 准教授らと共同研究を行い、摂食時の肝臓における差分トランスオミクスネットワークを構築し、肥満に伴う代謝異常の全容を明らかにしました。
本研究では、摂食時の野生型マウスと肥満モデルマウスの肝臓における差分トランスネットワークを新たに構築し、既に報告されていた絶食時の差分トランスオミクスネットワークと比較することにより、摂食時と絶食時で異なる病態を持つことを解明しました。通常のライフスタイルにおいては、絶食時よりも摂食時の方が生理的状態に近いため、本研究成果は肥満における代謝異常のメカニズム解明や、将来的に肥満に伴う代謝疾患の予防や治療に役立つと考えられます。
本研究成果は、2024年2月26日(米国東部時間)に「iScience」に掲載さ れます。
本研究は、科学技術振興機構(JST)における戦略的創造研究推進事業 CREST「多細胞間での時空間的相互作用の理解を目指した定量的解析基盤の創出」研究領域 研究課題名「時空間トランスオミクスを用いた多細胞・臓器連関代謝制御の解明」(課題番号:JPMJCR2123 研究代表者:黒田 真也)、日本学術振興会における科学研究費助成事業の新学術領域研究(研究領域提案型)「2型糖尿病の代謝アダプテーション」(課題番号:JP17H06299、JP17H06300 研究代表者:黒田 真也)の一環として行われました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(656KB)
<論文タイトル>
- “Trans-omic analysis reveals opposite metabolic dysregulation between feeding and fasting in liver associated with obesity”
- DOI:10.1016/j.isci.2024.109121
<お問い合わせ先>
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黒田 真也(クロダ シンヤ)
東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授
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科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ
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