理化学研究所,神戸大学,科学技術振興機構(JST)

令和6年1月31日

理化学研究所
神戸大学
科学技術振興機構(JST)

さまざまな形やサイズの細胞骨格を人工生体膜上で作る

~生体分子アクチンのネットワークを人工的に組み上げる新技術~

理化学研究所(理研) 生命機能科学研究センター 構成的細胞生物学研究チームの山崎 陽祐 リサーチアソシエイト、宮﨑 牧人 チームリーダー、神戸大学 大学院農学研究科 修士課程2年の宮田 優里 大学院生、同バイオシグナル総合研究センターの森垣 憲一 教授(同大学院農学研究科 教授)らの共同研究グループは、生体分子アクチンによる自発的な細胞骨格形成を空間的に制御できる技術を開発しました。

本研究成果は、アクチンが担う細胞の運動や変形など基本的な生命機能の理解だけではなく、がん細胞の浸潤や転移など、アクチンが関わるさまざまな病気の原因の解明や治療法の開発への貢献が期待されます。

共同研究グループは、細胞膜上でナノメートルサイズのアクチン分子が、細胞骨格と呼ばれる、自身の千倍以上大きなマイクロメートルサイズのネットワーク構造を自ら組み上げる仕組みに着目しました。そこで、半導体製造に使われる光リソグラフィー技術によりアクチンネットワーク形成を誘導する領域の形やサイズなどのパターンを自在に制御できる人工生体膜を作製し、この膜上でさまざまな形状のアクチンネットワークを形成させることに成功しました。この技術を使うことで、細胞膜上でアクチン分子が骨格構造を組み上げ、細胞の動きや形を制御する仕組みを、膜領域の物理的条件としての“形”と“サイズ”という新しい観点から理解することが可能となります。

本研究は、2024年1月31日(日本時間)に科学雑誌「Nano Letters」オンライン版に掲載されます。

本研究は、理化学研究所 運営費交付金(生命機能科学研究)で実施し、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「アクチン細胞骨格動態の構成的理解と制御(研究代表者:宮﨑 牧人、課題番号:JPMJPR20ED)」、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)「アクチン細胞骨格を直接操作できるオプトジェネティクスツールの開発(研究代表者:宮﨑 牧人)」、京都大学 白眉プロジェクトによる助成を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Controlling physical and biochemical parameters of actin nucleation using a patterned model lipid membrane”
DOI:10.1021/acs.nanolett.3c02742

<お問い合わせ先>

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