京都大学,早稲田大学,科学技術振興機構(JST)

令和6年1月18日

京都大学
早稲田大学
科学技術振興機構(JST)

機能性RNAの配列設計を支援する深層生成モデル“RfamGen”の開発

ポイント

角 俊輔 氏(京都大学 iPS細胞研究所(CiRA) 未来生命科学開拓部門 大学院生、早稲田大学 理工学術院 研究室受け入れ)、浜田 道昭 教授(早稲田大学 理工学術院)、齊藤 博英 教授(CiRA 同部門)は、目的の機能と構造を持つ人工RNA設計を支援する世界初の深層生成モデル“RfamGen”を開発しました。

RfamGenは、深層生成モデルで広く用いられている手法の1つである変分オートエンコーダー(VAE)と、RNA配列と二次構造の情報から機能性RNAを分類することのできる共分散モデルを組み合わせたもので、特定の機能と構造の特徴を持つRNA群の特徴を学習し、人工配列を生成することができます。

研究グループは、RfamGenが学習したRNA群と相同な構造と機能を持つRNA配列が安定的に生成できることをコンピューター上の解析と生化学実験の両方で確認しました。また、このRfamGenの性能は、深層生成モデルに共分散モデルを適用した結果であることが分かりました。さらに、RfamGenによる生成配列のRNAを大規模に合成し、網羅的にその活性を検証したところ、生成配列のRNAは天然のRNAよりも高い活性を示す傾向も見られました。

RfamGenによる学習結果を調べたところ、入力データのRNA群の二次構造や機能性のモチーフなどのバリエーションを、入力データの特徴の分布として効果的に集約していました。これにより、研究者が利用したいRNAの特徴をカスタマイズして、配列を生成することが容易になります。

RfamGenにより人工知能支援型のRNA設計が可能となることで、従来のRNA設計と比較し、開発コスト削減と高速化が実現し、核酸医薬や遺伝子治療などのRNA創薬の研究開発に貢献することが期待されます。

この研究成果は、2024年1月18日に英科学誌「Nature Methods」で公開される予定です。

本研究は、以下の支援を受けて実施されました。

  • ・科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業CREST「イノベーション創発に資す人工知能基盤技術の創出と統合化」研究領域(研究総括:栄藤 稔)「AIアプタマー創薬プロジェクト」(研究代表者:浜田 道昭、主たる共同研究者:齊藤 博英、グラント番号:JPMJCR21F1)
  • ・科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業CREST「細胞操作」研究領域(研究総括:宮脇 敦史)「機能性RNA・RNP進化プラットフォームの構築と細胞制御技術の開発」(研究代表者:齊藤 博英、主たる共同研究者:足立 俊吾、浜田 道昭、グラント番号:JPMJCR23B3)
  • ・日本学術振興会(JSPS) 科学研究費補助金 特別推進研究

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Deep generative design of RNA family sequences”
DOI:10.1038/s41592-023-02148-8

<お問い合わせ先>

(英文)“Constructing a deep generative approach for functional RNA design”

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