大阪大学,科学技術振興機構(JST)

令和5年11月7日

大阪大学
科学技術振興機構(JST)

細胞内の不思議をまた1つ
膜を持たないオルガネラが混じり合わずに存在できるしくみを解明

ポイント

大阪大学 大学院生命機能研究科の高桑 央 特任研究員(北海道大学 医学研究院 博士課程)、山崎 智弘 特任講師(常勤)、廣瀬 哲郎 教授(大学院理学研究科、先導的学際研究機構 兼任)の研究グループは、核内の非膜オルガネラがお互いに独立して存在するための分子メカニズムを明らかにしました。

細胞内に数多く存在するさまざまな非膜オルガネラは、膜を持たないにもかかわらず、お互いに混じり合うことなく独立して存在しており、このことが固有の機能を果たすために必要です。しかし個々の非膜オルガネラが独立して存在できるメカニズムについてはよく分かっていませんでした。

今回、山崎 特任講師(常勤)と廣瀬 教授らの研究グループは、核内の非膜オルガネラの一種であるパラスペックルと核スペックルをモデルとして、お互いが独立して存在するしくみの解明を試みました。その結果、パラスペックル表面のたんぱく質の組成が非膜オルガネラ同士の融合と分離に関わり、オルガネラの独立性を調節していることを明らかにしました。これにより、細胞内に多数存在する非膜オルガネラが独立して正しく機能を果たす分子基盤の理解が進み、細胞内相分離による細胞機能制御メカニズムの解明が一層進むことが期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Cell Biology」に、2023年11月7日(火)(日本時間)に公開されます。

本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 (CREST)「細胞内現象の時空間ダイナミクス」研究領域 研究課題名「RNAによる非膜性構造体の形成と作動原理の確立」(課題番号:JPMJCR20E6 研究代表者:廣瀬 哲郎)をはじめとし、日本学術振興会 科学研究費補助金、日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究「クロマチン潜在能」、学術変革領域(A)「非ドメイン生物学」、AMED 次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(RNA標的創薬技術開発)の一環として行われ、フランス国立科学研究センターのGerard Pierron 博士、国立がん研究センター研究所の足達 俊吾 博士、北海道大学 大学院薬学研究院の中川 真一 教授、北海道大学 化学反応創成研究拠点の山本 哲也 博士の協力を得て行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Shell protein composition specified by the lncRNA NEAT1 domains dictates the formation of paraspeckles as membraneless organelles”
DOI:10.1038/s41556-023-01254-1

<お問い合わせ先>

(英文)“Shell protein composition specified by the lncRNA NEAT1 domains dictates the formation of paraspeckles as membraneless organelles”

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