ポイント
- 従来の中赤外ハイパースペクトルイメージングでは、可視光領域と比較し、光源と検出器の性能が低いため計測に膨大な時間を要していたが、今回飛躍的に性能を高め、計測時間を桁違いに短縮することに成功
- 約10フェムト秒(10-15秒)の極限的に短い中赤外光パルスを光源とすることで、中赤外光を容易に可視光に波長変換し、高性能な可視光領域のカメラで計測する技術を確立
- これまで中赤外イメージングでは難しかった植物細胞における成分の分布を測定し、細胞の核の位置を染色せずに特定
- 短時間での大量のデータ取得や、試料の動的な変化の測定が可能になり、医療、環境、化学、薬学などの広い分野への応用に期待
豊田工業大学 レーザ科学研究室 藤 貴夫 教授、趙 越 ポストドクトラル研究員(現 室蘭工業大学 准教授)と名古屋工業大学 大学院工学研究科 工学専攻(生命・応用化学領域)古谷 祐詞 准教授らは、高速に中赤外ハイパースペクトルイメージングを行う画期的な手法を開発しました。
中赤外ハイパースペクトルイメージングとは、波長ごとに画像を取得する分光技術であり、がん組織の高速診断や、自然界の生物に取り込まれた汚染物質の追跡、検体組織中の薬物分布測定、化学反応の分子レベルでの解析など、幅広い分野への応用が期待されていますが、これまでの性能を桁違いに高める技術を開発しました。
本研究成果は、2023年7月4日(日本時間)、英国 Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR17N5)などの支援を受けて行われたものです。また、豊田工業大学 藤 貴夫 教授が所属している「スマート光・物質研究センター」(文部科学省私立大学等経常費補助金特別補助「大学院等の機能の高度化」の対象となる本学の研究センター)の研究成果の1つです。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(1.3MB)
<論文タイトル>
- “High-speed scanless entire bandwidth mid-infrared chemical imaging”
- DOI:10.1038/s41467-023-39628-6
<お問い合わせ先>
-
<研究に関すること>
藤 貴夫(フジ タカオ)
豊田工業大学 大学院工学研究科 レーザ科学研究室 教授
Tel:052-809-1890
E-mail:fujitoyota-ti.ac.jp
古谷 祐詞(フルタニ ユウジ)
名古屋工業大学 大学院工学研究科 オプトバイオテクノロジー研究センター 准教授
Tel:052-735-5127
E-mail:furutani.yujinitech.ac.jp
-
<JST事業に関すること>
安藤 裕輔(アンドウ ユウスケ)
科学技術振興機構戦 略研究推進部 グリーンイノベーショングループ
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
Tel:03-3512-3531 Fax:03-3222-2066
E-mail:crestjst.go.jp
-
<報道担当>
豊田工業大学 広報・入試室 渉外広報グループ
Tel:052-809-1764
E-mail:s-kohotoyota-ti.ac.jp
名古屋工業大学 企画広報課
Tel:052-735-5647
E-mail:pradm.nitech.ac.jp
科学技術振興機構 広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
Tel:03-5214-8404 Fax:03-5214-8432
E-mail:jstkohojst.go.jp