ポイント
- 不安定性を利用することで多足ロボットの機敏で効率の良い歩行の実現に成功
- 環境と複雑に相互作用する多くの足の運動計画や制御の問題に対して、直線歩行の安定性を制御する機構を導入し、通常排除する不安定性をむしろ積極的に利用することで機敏な歩行を実現可能にした
- 惑星探査や災害現場のような人が立ち入ることの難しい場所などさまざまな状況での利用に向けた応用へ期待
大阪大学 大学院基礎工学研究科の青井 伸也 教授の研究グループは、不安定性を利用した多足ロボットの機敏で効率の良い歩行の実現に成功しました。
多足ロボットは、多くの足を持つために耐故障性や転倒回避性に優れており、さまざまな場所で活用できると期待されています。しかし、環境と複雑に相互作用する多くの足の運動計画や制御は難しく、その実現は困難でした。特に、地面につけている多くの足が障害となり、急旋回のような機敏な運動を行うことは至難の業でした。
青井 伸也 教授の研究グループでは、回転バネにより柔軟な体軸を持つ多足ロボットにおいて、そのバネ剛性をパラメータとするピッチフォーク分岐によって直線歩行が不安定化し、剛性に依存した半径を持つ円歩行に遷移(せんい)することを明らかにしていました(Aoi et al.,2022)。今回、その剛性を変化させる機構をロボットに搭載することで直線歩行の不安定化を自在に引き起こし、さらにそれによって遷移する円歩行の半径を制御することで、機敏で効率の良い歩行の実現に成功しました。これにより、惑星探査や災害現場のような人が立ち入ることの難しい場所など、さまざまな状況での利用に応用されることが期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Soft Robotics」に、2023年5月29日(月)(日本時間)に公開されます。
本研究の一部は、JST 創発的研究支援事業JPMJFR2021、JSPS 科研費JP17H04914、JP19KK0377、JP20H00229、稲盛財団の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(861KB)
<論文タイトル>
- “Maneuverable and efficient locomotion of a myriapod robot with variable body-axis flexibility via instability and bifurcation”
- DOI:10.1089/soro.2022.0177
<お問い合わせ先>
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<研究に関すること>
青井 伸也(アオイ シンヤ)
大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授
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Tel:06-6850-6131
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