東海国立大学機構 名古屋大学,科学技術振興機構(JST)

令和5年3月3日

東海国立大学機構 名古屋大学
科学技術振興機構(JST)

究極の薄さのアモルファスシリカ:
界面活性剤で作るナノの反応容器で実現

~次世代の電子デバイス、エネルギー分野での応用に期待~

ポイント

東海国立大学機構 名古屋大学 大学未来材料・システム研究所の山本 瑛祐 助教と長田 実 教授らの研究グループは、従来は溶解させてから鋳型利用する界面活性剤をあえて溶かさずに、層状固体のまま利用し、その隙間で合成したアモルファスシリカを剥離(はくり)することで、厚さ0.9ナノメートルのアモルファスシリカナノシートの合成に成功しました。

アモルファスシリカのナノシートは、優れた機械的特性や広いバンドギャップを示すことが期待されており、次世代の電子デバイス、エネルギー分野での応用が見込まれます。しかし、アモルファスシリカの場合には、一般的な合成手法である層状化合物の剥離によるナノシート合成が困難でした。

本研究では、ナノシートが非常に安定に分散したコロイド溶液として得られており、精密集積により1ナノメートルレベルで厚さを制御した極薄膜の構築にも成功しました。アモルファスシリカは絶縁膜やフィラー、プロトン伝導体としてさまざまな分野で利用される汎用的な素材であり、アモルファスシリカ超薄膜の活用法に新たな指針を与えるものと思われます。

本研究成果は、2023年2月28日付国際誌「Small」に掲載されました。

本研究の一部は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ研究 研究課題「イオン伝導性原子膜の能動的制御と中低温イオニクス材料の創製(研究代表者:山本 瑛祐、JPMJPR19TA)」、科学研究補助金基盤研究(S) 研究課題「原子膜技術による革新的蓄電デバイスの創成(研究代表者:長田 実)」、基盤研究(B) 研究課題「非層状化合物原子膜の精密合成と原子層エンジニアリングへの展開(研究代表者:山本 瑛祐)」の支援を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Free-standing Molecularly Thin Amorphous Silica Nanosheets”
DOI:10.1002/smll.202300022

<お問い合わせ先>

(英文)“Free-standing Molecularly Thin Amorphous Silica Nanosheets”

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