東北大学,科学技術振興機構(JST)

※プレスリリース資料3ページ目に、文字が正しく表示されていない箇所がありましたので、発表原稿を差し替えました(令和5年1月26日)。

令和5年1月25日

東北大学
科学技術振興機構(JST)

プローブの凝集・解離機構を利用し、標的エクソソームを高感度に検出

~強い結合力と高い蛍光応答機能を発現~

ポイント

エクソソームはほぼ全ての細胞が放出する細胞外小胞(直径50~150ナノメートル程度)で、細胞の恒常性維持やがんなどの疾患発症など多様な生命現象に深く関与しています。エクソソームの機能理解や医療応用に向けて、エクソソームの検出技術開発が必要不可欠です。

東北大学 大学院理学研究科 佐藤 雄介 准教授らの研究グループは、自己会合・解消機構に基づく新たなエクソソーム検出用蛍光プローブ(ApoC-TRC12)を開発することに成功しました。ApoC-TRC12単独では自己会合による凝集体形成により、その蛍光が著しく抑制されていますが、エクソソーム添加により凝集体が解消され、プローブがエクソソーム表面の脂質膜に強くかつ選択的に結合することで、明瞭な発蛍光応答を示します。ApoC-TRC12は標的エクソソームと混ぜて蛍光測定するだけという簡便な操作で迅速に高感度検出(検出限界~10個/マイクロリットル)が可能です。抗体を用いた既存のエクソソーム検出法では、検出原理上、解析対象は抗体が結合するマーカーたんぱく質が発現している種類のエクソソームに限定されますが、これに対して本プローブはエクソソーム脂質膜を結合場とするため、表面のたんぱく質発現プロファイルに影響を受けず、さまざまな細胞由来のエクソソームの解析に適用できます。今後、本研究成果はエクソソーム研究の基礎と応用を推進する基盤技術の開拓に貢献するものと期待されます。

本研究成果は、2023年1月25日(米国東部時間)にアメリカ化学会(ACS)が出版する「ACS Sensors」誌に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)「蛍光プローブの結合反応に基づくエクソソーム性質解析」(JPMJPR19H4)(研究代表者:佐藤 雄介)の支援を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Self-assembly and disassembly of membrane curvature-sensing peptide-based deep-red fluorescent probe for highly sensitive sensing of exosomes”
DOI:10.1021/acssensors.2c02498

<お問い合わせ先>

(英文)“Self-Assembly and Disassembly of Membrane Curvature-Sensing Peptide-Based Deep-Red Fluorescent Probe for Highly Sensitive Sensing of Exosomes”

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