国際農研,東京大学,マダガスカル国立栄養局,科学技術振興機構(JST),国際協力機構

令和5年1月12日

国際農研
東京大学
マダガスカル国立栄養局
科学技術振興機構(JST)
国際協力機構

コメ増収はマダガスカル農家の栄養改善に有効

~主食作物の生産性向上によりアフリカの栄養問題解決に期待~

ポイント

国際農研は、東京大学 大学院農学生命科学研究科およびマダガスカル国立栄養局と共同で、深刻な栄養問題を抱えるマダガスカルの農村地域を対象に、主食である水稲の収量増加が農家の栄養改善に有効であることを、計量経済学の手法によって明らかにしました。

本研究による分析では、水稲収量が増えるとコメの自家消費量だけではなく、コメを販売した現金収入で栄養価の高い食品(野菜、果物、肉・魚)の購入量も増加することが分かりました。これらの購入行動を通じた消費する食品の多様化により、エネルギー供給量だけでなく、ビタミンA、亜鉛、鉄分などの微量栄養素の供給量、すなわち、量と質の両面において栄養改善に貢献することが示唆されました。

これまで、サブサハラ・アフリカの農村地域において、主食作物の生産性の向上が農家の栄養供給に及ぼす影響を評価した事例は限られていました。この研究は、水稲の生産性向上に関する技術的介入によって、消費や市場を通じた購買行動の多様化が生じ、貧困農家の栄養改善につながることを見いだしたもので、持続可能な開発目標(SDGs)の目標2「飢餓をゼロに」への貢献が期待されます。

本研究の成果は、国際科学専門誌「Food Security」電子版(日本時間2023年1月11日)に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)の連携事業である地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「肥沃度センシング技術と養分欠乏耐性系統の開発を統合したアフリカ稲作における養分利用効率の飛躍的向上(研究代表者:国際農研 辻本 泰弘)」の支援を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“How are higher rice yields associated with dietary outcomes of smallholder farm households in Madagascar?”
DOI:10.1007/s12571-022-01333-5

<お問い合わせ先>

(英文)“Increased Rice Yield Improves Nutrition of Farmers in Madagascar”

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