東京大学,神奈川県立産業技術総合研究所,理化学研究所,東京都立大学,科学技術振興機構(JST)

令和4年6月14日

東京大学
神奈川県立産業技術総合研究所
理化学研究所
東京都立大学
科学技術振興機構(JST)

生命現象を赤色光でコントロールする技術を開発

~遺伝子発現とDNA組み換え反応の光操作を実現~

ポイント

東京大学 大学院総合文化研究科の桑﨑 勇人 大学院生(研究当時)と佐藤 守俊 教授は、同研究科の山本 翔太 研究員(研究当時)、小田部 尭広 研究員(研究当時)、神奈川県立産業技術総合研究所の中嶋 隆浩 研究員、および理化学研究所 生命機能科学研究センターの清水 義宏 チームリーダー、東京都立大学 大学院理学研究科の成川 礼 准教授、コロンビア大学 リハビリテーション再生医療学科・薬理学科の矢澤 真幸 助教授らとの共同研究により、生体組織透過性が極めて高い赤色光で生体深部の生命現象を操作できる光スイッチたんぱく質(MagRed:マグレッド)の開発に成功しました。光スイッチたんぱく質は、細胞内や生体内のさまざまな生体分子の機能を光で操作するための基盤技術となるツールです。赤色光による光スイッチたんぱく質はすでにいくつか報告されていましたが、哺乳類にはない色素の添加を要する点や光制御能が著しく低い点、汎用性がない点など、大きな課題が残されていました。本研究で開発したMagRedは、外来性の色素の添加を必要とせず、赤色光のON・OFFのみで極めて高い制御能を持つともに、その高い汎用性により、遺伝子発現やDNA組み換え反応の光操作を実現しました。この新しい赤色光スイッチたんぱく質は、生命現象の光操作の応用可能性を大きく広げることが期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Biotechnology」(オンライン版:2022年6月13日(英国夏時間))に掲載されます。

本研究成果は、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)「光の特性を活用した生命機能の時空間制御技術の開発と応用」(研究総括:影山 龍一郎 理化学研究所 脳神経科学研究センター センター長)における「ゲノムの光操作技術の開発と生命現象解明への応用」(研究代表者:佐藤 守俊、課題番号:JPMJCR1653)、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)の戦略的研究シーズ育成事業(研究代表者:佐藤 守俊)、UTEC-UTokyo FSI Research Grant Program(研究代表者:佐藤 守俊)、日本学術振興会(JSPS) 特別研究員DC2(研究代表者:桑﨑 勇人、課題番号:JP20J14492)の一環として得られました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“A red light–responsive photoswitch for deep tissue optogenetics”
DOI:10.1038/s41587-022-01351-w

<お問い合わせ先>

(英文)“A red light–responsive photoswitch for deep tissue optogenetics”

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