・人は「かわいい」と感じたとき、笑顔になります。その笑顔が周囲の人に伝わり、「かわいい」という気持ちをもたらすことで、人と人との交流を促します。しかし、コロナ禍ではマスク着用が感染予防に欠かせないため、笑顔を通じて「かわいい」と感じる気持ちを他者に伝えることが難しくなっています。
・私たちは、説明者が物に触れながら、その物についての説明をすることで、「かわいい」と感じていることが他者に伝わること、さらにはその他者もその物をより「かわいい」と感じることを明らかにしました。すなわち、マスクが人の笑顔を隠してしまう場合でも、触れることで物に対して「かわいい」と感じている気持ちを他者に強く伝えられることが分かりました。
・物に触れる存在がロボットであっても、同じ現象が起きることも確認しました。これは、ロボットという人工物であっても、物に対して「かわいい」と感じる気持ちを人に生じさせられることを示しています。コロナ禍でロボットも店員として活躍する中で、商品に触れながら説明することで顧客が「かわいい」と感じる気持ちを強くし、より興味を持ってもらえる可能性も期待できます。
・本成果は、マスクによって笑顔が伝わりにくいコロナ禍においても、物に触れることで「かわいい」と感じる気持ちが他者に伝わり、交流を促すきっかけを生み出せることを示唆しています。また、人が物に触れることで「かわいい」と感じる気持ちに変化をもたらしたことは、見た目以外にも「かわいい」と感じる要素が存在することを示唆しています。
本研究成果は、2022年3月25日(日本時間)に「PLOS ONE」オンライン版で公開されました。
本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業(CREST:ソーシャルタッチの計算論的解明とロボットへの応用(研究代表者:塩見 昌裕、JPMJCR18A1))、科研費(基盤A:「かわいい」感情の効用とその実社会応用に関する研究(代表:入戸野 宏))、JST 戦略的創造研究推進事業(さきがけ:ソーシャルキャピタルの醸成を支援するロボットシステム(研究者:飯尾 尊優、JPMJPR1851))、科研費(特別研究員奨励費:対話を通した性格推定に基づく個人適応型情報提供ロボットの実現(代表:木本 充彦))の研究プロジェクトの一環として実施されました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(428KB)
<論文タイトル>
- “Kawaii emotions in presentations: viewing a physical touch affects perception of affiliative feelings of others toward an object”
- DOI:10.1371/journal.pone.0264736
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