産業技術総合研究所,大阪大学,科学技術振興機構(JST),日本電子株式会社

令和4年3月3日

産業技術総合研究所
大阪大学
科学技術振興機構(JST)
日本電子株式会社

同位体を原子レベルで識別・可視化することに成功

~透過電子顕微鏡で同位体の分析が可能に~

ポイント

産業技術総合研究所(以下「産総研」という) ナノ材料研究部門 電子顕微鏡グループ 千賀 亮典 主任研究員は、大阪大学 産業科学研究所 末永 和知 教授、科学技術振興機構(JST)、日本電子株式会社と共同で、透過電子顕微鏡を使って数原子という極微量の同位体元素を検出する技術を開発した。

放出電子のエネルギーをそろえることができる単色化電子源を利用し、中性子1つ分の重さの違いを原子の振動エネルギーの差として検出することで、同位体元素を1ナノメートル以下の空間分解能で検出する技術を開発した。これは光やイオンを用いた既存の同位体検出技術よりも1~2桁以上高い空間分解能である。今回の開発によって透過電子顕微鏡は、物質の構造と構成元素に加え、これまで識別不可能であった同位体種別をも分析できるようになる。将来的には同位体標識を単原子・単分子レベルで追跡することで、化学反応や生体反応がどこでどのように起こっているのかを直接かつ詳細に解析できる可能性もあり、材料科学や生物学の基礎研究のほか、創薬研究など幅広い分野での貢献が期待される。なお、この技術の詳細は、2022年3月2日(英国時間)に「Nature」で発表される。

本研究開発は、科学技術振興機構(JST)の委託事業「さきがけプロジェクト:革新的光科学技術を駆使した最先端科学の創出(2020~2025年度)」および「CRESTプロジェクト:原子・分子の自在配列・配向技術と分子システム機能」による支援を受けた。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Imaging of isotope diffusion using atomic-scale vibrational spectroscopy”
DOI:10.1038/s41586-022-04405-w

<お問い合わせ先>

(英文)“Imaging of isotope diffusion using atomic-scale vibrational spectroscopy”

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