京都大学,東京大学,科学技術振興機構(JST),日本医療研究開発機構(AMED)

令和4年2月15日

京都大学
東京大学
科学技術振興機構(JST)
日本医療研究開発機構(AMED)

脳の神経活動を可視化する新規マウス系統を開発

~高感度・高速カルシウムセンサーによる神経活動の計測に成功~

複雑な脳機能を解明するためには、生きた動物の脳から、個々の神経細胞の活動を正確に計測する技術が必要不可欠です。京都大学 大学院生命科学研究科 坂本 雅行 特定准教授、東京大学 大学院医学系研究科 井上 昌俊 特任助教(研究当時、現:スタンフォード大学 博士研究員)、東京大学 大学院医学系研究科 尾藤 晴彦 教授らの共同研究グループは、高感度・高速カルシウムセンサーを安定して発現する遺伝子改変マウスの開発に成功しました。

近年、神経活動を可視化する方法として、蛍光カルシウムセンサーを用いた神経活動イメージング法が広く用いられています。本研究では、より正確な神経活動の計測を実現するため、高感度・高速カルシウムセンサー(G-CaMP9a)の開発と、この新規センサーを細胞種特異的に発現誘導可能な遺伝子改変マウス(G-CaMP9aノックインマウス)の作製を行いました。2光子励起顕微鏡を用いた生体イメージングにより神経細胞の活動を観察したところ、このマウスは感覚刺激に対する神経細胞の応答をより正確に検出できることが明らかとなりました。作製したマウスは、カルシウムセンサーの発現レベルが安定して均一なため、複雑な高次脳機能を解明するための有用なリソースとなることが期待されます。

本成果は、2022年2月14日(現地時刻)に米国の国際学術誌「Cell Reports Methods」にオンライン掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST)・戦略的創造研究推進事業のさきがけ研究領域「革新的光科学技術を駆使した最先端科学の創出」における研究課題「コンピュータホログラフィーを応用した活動電位発生機構の解明」(JPMJPR1906)、日本医療研究開発機構(AMED)・脳とこころの研究推進プログラム「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(革新脳)」における研究開発課題「活動痕跡の多重化標識と全光学的検索に基づく回路機能解明技術開発」(JP19dm0207079)、文部科学省新学術領域研究「記憶・情動における多領野間脳情報動態の光学的計測と制御」(JP17H06312)、科学研究費補助金(JP21K19429、JP20H04122、JP18K19493、JP16H06728、JP15K18372、JP19H01007、JP16H06276)の支援によって得られた成果です。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“A Flp-dependent G-CaMP9a transgenic mouse for neuronal imaging in vivo
DOI:10.1016/j.crmeth.2022.100168

<お問い合わせ先>

(英文)“A Flp-dependent G-CaMP9a transgenic mouse for neuronal imaging in vivo”

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