ポイント
- 塩化ナトリウムの結晶の角に電気素量の1/8の大きさの電荷が分布することを理論的に解明しました。
- 最も単純で身近なイオン結晶の1つである塩化ナトリウムの結晶の、これまで知られていなかった電気的性質を発見しました。
- 今回の発見は、塩化ナトリウムに限らず他のイオン結晶も同様に、角や表面に局在した電荷を持つことを示唆するため、産業・工業的応用上のさまざまな場面におけるインパクトが期待されます。
東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻の渡邉 悠樹 准教授は、米マサチューセッツ工科大学のHoi Chun Po 博士研究員(研究当時、現・香港科技大学 助教)と共に、「塩」として知られる塩化ナトリウムの結晶の角に、電気素量eの1/8の大きさの電荷が生じることを理論的に解明しました。
塩化ナトリウムは身の回りに存在するイオン結晶の代表例です。今回の研究成果は他のイオン結晶も同様に表面や角に特徴的な電荷を持つことを示唆します。
電荷同士はクーロン相互作用によって互いに引きつけ合ったり反発したりするため、表面や角の電荷はイオン結晶の性質に影響を及ぼします。そのため、結晶の角に分数電荷を持つという性質はこれらの物質の産業・工業的応用に際してさまざまな場面で重要になる可能性があります。
本研究成果は、2021年12月30日(米国東部標準時)に米国物理学会誌「Physical Review X」のオンライン版に掲載されました。
本研究は、JST さきがけ・トポロジカル材料科学と革新的機能創出「対称性の表現に基づくトポロジカル材料の探索(課題番号:JPMJPR18LA)」、科研費「量子多体系の多極子に対するmodern theoryの構築(課題番号:JP20H01825)」の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Fractional Corner Charge of Sodium Chloride”
- DOI:10.1103/PhysRevX.11.041064
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