ポイント
- トポロジカル絶縁体と磁気トンネル接合を集積したSOT-MRAM素子を作製。
- 比較的高いトンネル磁気抵抗効果による読み出しと、トポロジカル絶縁体による低電流密度の書き込みを実証。
- 電子回路の待機電力を大幅に削減できる次世代不揮発性メモリーとして、実用化の加速に期待。
東京工業大学 工学院 電気電子系のファム・ナムハイ 准教授と米国カリフォルニア大学 ロサンゼルス校のカン・ワン 教授を中心とした国際研究チームは、トポロジカル絶縁体と磁気トンネル接合(MTJ)を集積したスピン軌道トルク磁気抵抗メモリー(SOT-MRAM)素子の作製と、比較的高いトンネル磁気抵抗効果による読み出しおよびトポロジカル絶縁体による低電流密度の書き込みの実証に成功した。
SOT-MRAMは、スピンホール効果による純スピン流を用いて、高速で書き込みができる次世代の不揮発メモリー技術である。書き込み電流と電力を下げるためには、スピンホール効果が強いトポロジカル絶縁体を用いることが有望であるが、トポロジカル絶縁体と磁気トンネル接合との集積技術はこれまで確立されていなかった。今回の研究では、トポロジカル絶縁体と磁気トンネル接合を集積できることを示し、読み出しと書き込みの原理動作の実証に成功した。本研究成果により、産業界を巻き込んだ超低消費電力SOT-MRAMの研究開発が加速されると期待できる。
本研究成果は、2021年10月29日付(英国時間)の英国の学術誌「Nature Communications」に掲載される。
本研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)「トポロジカル表面状態を用いるスピン軌道トルク磁気メモリの創製」(研究代表者:ファム・ナムハイ、課題番号:JPMJCR18T5)からの支援を受けて実施された。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Magnetic memory driven by topological insulators”
- DOI:10.1038/s41467-021-26478-3
<お問い合わせ先>
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