京都大学,科学技術振興機構(JST)

令和3年10月14日

京都大学
科学技術振興機構(JST)

パーキンソン病では前認知症段階で血中リンパ球が低下

~先制治療・病態解明の鍵~

パーキンソン病では、病気の進行に伴い認知症を合併することがありますが、認知症を発症する患者の特徴はいまだ十分には分かっていません。今回、京都大学 大学院医学研究科 月田 和人 博士課程学生(帝京大学 先端統合研究機構 特任研究員、関西電力医学研究所 睡眠医学研究部 特任研究員 兼務)、酒巻 春日 同 博士課程学生、高橋 良輔 同教授らの研究グループは、国際多施設共同観察研究のデータを用いて、APOE4アレルを持つパーキンソン病患者においてのみ、診断時の血中のリンパ球の減少がその後の経時的な認知機能の低下を的確に予測することを発見しました。興味深いことに、診断時の血中リンパ球数の低下は、APOE4アレルを持たない患者における認知機能の低下と全く関連がありませんでした。パーキンソン病において、血中リンパ球数は脳内の炎症を反映して低下する可能性が高いという報告を踏まえると、"APOE4アレル"と"脳内炎症"は相補的に認知機能の低下を引き起こす可能性が示唆されます。本成果は、2021年10月14日に米国の国際学術誌「Movement Disorders」にオンライン掲載されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

ムーンショット型研究開発事業(MS)

「ムーンショット型研究開発事業 目標2 2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」
(プログラムディレクター:祖父江 元 愛知医科大学 理事長・学長)
「臓器連関の包括的理解に基づく認知症関連疾患の克服に向けて」
(プロジェクトマネージャー:高橋 良輔 京都大学 医学研究科 臨床神経学 教授)
「パーキンソン病前駆期モデル動物を活用した臓器間ネットワークの解明とヒトへのトランスレーションによるリスク予見法の創出」
(課題推進者:山門 穂高 京都大学 医学部附属病院 脳神経内科 特定准教授)
令和2年12月~令和7年11月

健康寿命を延伸するためには、疾患が発症した後で治療するという従来の考えから脱却し、疾患の超早期状態、さらには前駆状態を捉えて、疾患への移行を未然に防ぐという、超早期疾患予測・予防ができる社会を実現することが鍵となります。本研究開発プログラムでは、超早期疾患予測・予防を実現するため、観察・操作・計測・解析・データベース化などさまざまな研究開発を推進し、これらを統合して臓器間ネットワークの包括的な解明を進めていきます。

研究開発プロジェクトでは、新規イメージング・計測・操作技術の開発などにより、脳と全身臓器ネットワークの機能とその破綻を分子・細胞・個体レベルで解明します。それにより、2050年には、認知症関連疾患の超早期の発症予測法と予防法を開発し、先制医療を享受できる社会の実現を目指します。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Lower circulating lymphocyte count predicts APOE ε4-related cognitive decline in Parkinson’s disease”
DOI:10.1002/mds.28799

<お問い合わせ先>

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