ポイント
- シリコンチップによって、テラヘルツ波を用いた6Gやその先の超大容量通信を切り拓く技術を開拓
- 周波数の異なるテラヘルツ信号の合分波器機能を小型チップで実現
- データレート48ギガビット毎秒の高速通信を可能とする4チャネルデバイスの開発に成功
大阪大学 大学院基礎工学研究科の冨士田 誠之 准教授、永妻 忠夫 教授、Daniel Headland(ダニエル ヘッドランド) 招へい教員(当時:特任研究員(常勤))らは、オーストラリア アデレード大学 Withawat Withayachumnankul(ウィザワット ウィザヤチュムナンクル) 准教授(大阪大学 大学院基礎工学研究科 招へい教員を兼務)と共同で、シリコンを用いた小型テラヘルツ合分波器の開発に成功しました。
電波と光の中間領域の周波数を有する電磁波であるテラヘルツ波は、次世代の移動体通信6Gなどの超高速無線通信への応用が期待されていますが、そのデバイス技術が未熟という課題があります。特に、超大容量通信の実現に向けて、複数のチャネルを用いた情報伝送を可能とする信号多重化技術が必要であり、テラヘルツ信号を合成・分離する合分波器の開発が求められています。
本研究グループは、誘電体としてのシリコンに着目し、テラヘルツ波のトンネリング現象を利用することで、300ギガヘルツ帯の4チャネル合分波器の開発に成功しました。本デバイスの大きさは、約4平方センチメートルと極めて小型であり、テラヘルツ波を用いた超大容量通信の各種応用展開を切り拓く成果であるといえます。
本研究成果は、米国科学誌「Optica」に2021年4月29日(木)(日本時間)にオンライン出版される予定です。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成」研究領域における研究課題「共鳴トンネルダイオードとフォトニック結晶の融合によるテラヘルツ集積基盤技術の創成」(研究代表者:冨士田 誠之)の一環として行われ、その一部は科研費およびAustralia Research Council Discovery grantの支援を受けました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Gratingless integrated tunneling multiplexer for terahertz waves”
- DOI:10.1364/OPTICA.420715
<お問い合わせ先>
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<研究に関すること>
冨士田 誠之(フジタ マサユキ)
大阪大学 大学院基礎工学研究科 准教授
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嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
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