東海国立大学機構 名古屋大学,科学技術振興機構(JST)

令和3年2月2日

東海国立大学機構 名古屋大学
科学技術振興機構(JST)

イネの収量を増加させる画期的な技術開発に成功

~食糧増産と二酸化炭素や肥料の削減に期待~

ポイント

東海国立大学機構 名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の木下 俊則 教授、大学院理学研究科のヂャン・マオシン 研究員、南京農業大学 資源環境科学学院のヂゥー・イーヨン 教授らは、イネの1つの遺伝子(細胞膜プロトンポンプ)を増加させることで、根における養分吸収と気孔開口を同時に高める技術を開発し、野外水田でのイネの収量を30パーセント以上増加させることに成功しました。

本研究グループによるこれまでの研究により、根における養分吸収と気孔開口において、細胞膜プロトンポンプが共通して重要な役割を果たすことが明らかとなってきました。そこで、1つの細胞膜プロトンポンプ遺伝子の発現を高めた過剰発現イネを作出したところ、根における窒素養分吸収が20パーセント以上、光合成活性が25パーセント以上高まっており、4カ所の異なった野外の隔離水田圃場における収量評価試験においてイネの収量が30パーセント以上増加することが明らかとなりました。本研究成果は、根における養分吸収と気孔開口を同時に高める画期的な技術であり、さまざまな実用作物での応用が期待されます。

本研究成果は、2021年2月2日(英国時間)に国際科学誌「Nature Communications」でオンライン公開されます。

本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発(ALCA)「気孔開度制御による植物の光合成活性と生産量の促進」(研究代表者:木下 俊則 名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 教授)[JPMJAL1011]、科学研究費補助金 基盤研究(S)[20H05687]、学術変革領域研究(A)[20H05910]の支援のもとで行われたものです。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Plasma membrane H+-ATPase overexpression increases rice yield via simultaneous enhancement of nutrient uptake and photosynthesis”
(細胞膜プロトンポンプの過剰発現は養分吸収と光合成を同時に促進することでイネの収量を増加させる)
DOI:10.1038/s41467-021-20964-4

<お問い合わせ先>

(英文)“A Revolutionary Genetics-Based Approach to Increasing Crop Yield in Rice”

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