福井大学,科学技術振興機構(JST)

令和2年11月16日

福井大学
科学技術振興機構(JST)

子ども虐待の低減に向けた養育者を支援する研修・啓発資材の開発

~「とも育て™」による「マルトリ予防™」の普及~

ポイント

福井大学 子どものこころの発達研究センター 友田 明美 教授らの研究グループは、「マルトリートメント」に早期に気づいて養育者を支援する研修・啓発資材を開発しました。マルトリートメント(避けたいかかわり。以下「マルトリ」)は、世界保健機関(WHO)では、子どもへの不適切なかかわりや養育を指すと定義されています。研修・啓発資材は2018年から大阪府こころの健康総合センター、豊中市、枚方市と協働して開発を行い、さまざまな分野の支援者が、「マルトリ予防」や「とも育て」などの概念について共通に理解し、専門にかかわらず活用でき、相談支援全般における意識と対応力が向上することを目指したものです。「とも育て(きょうどう子育て)」は、子どもを取り巻く地域の全ての大人が次の世代を担う子どもたちやその親、家族に寄りそう家族丸ごと支援を意味します。研修・啓発資材には、マルトリが脳の発達や成人後の疾患発症に影響する可能性があるという科学的根拠の分かりやすい解説とともに、支援者のマルトリへの対応などが盛り込まれています。子育て家族が危機的状況に陥る前に、子どものみならず、養育者が抱える健康・生活経済・家族などのマルトリの背景に潜むリスクに、支援者が早期に気づき支援することを助けます。そして、マルトリを予防するために、地域住民も子育て家族を支援する「とも育て」が大切であることを支援者が共通認識して連携することを促し、協働体制を強固にしていきます。

分野や地域の違いを越えて活用できる研修・啓発資材を、この度開設した「マルトリ予防WEBサイト」で公開し、今後は日本家族計画協会(JFPA)と共に全国に向けて普及活動を展開して、「マルトリ予防」と「とも育て」の理解を広げることで、子ども虐待の低減を目指します。

本成果は、以下の事業・研究開発領域・研究開発プロジェクトによって得られました。

科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)

「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」
山田 肇(東洋大学 名誉教授/NPO法人情報通信政策フォーラム 理事長)
「養育者支援によって子どもの虐待を低減するシステムの構築」
友田 明美(福井大学 子どものこころの発達研究センター 教授)
平成27年11月~令和3年3月

(平成27年11月~平成30年11月は、黒田 公美(理化学研究所 脳神経科学研究センター)が研究代表者で、友田教授はグループリーダーを務める。その成果の社会実装に向けて平成30年12月~令和3年3月に「研究開発成果の定着に向けた支援制度」期間として友田教授が研究代表者を務める。)

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