東京大学,科学技術振興機構(JST)

令和2年9月7日

東京大学
科学技術振興機構(JST)

インターフェロン産生を抑制するSARS-CoV-2タンパク質の発見

ポイント

東京大学 医科学研究所 附属感染症国際研究センター システムウイルス学分野の佐藤准教授らは、ウイルス感染に対する免疫応答の中枢を担うインターフェロン産生を抑制する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のタンパク質ORF3bを発見しました。

SARS-CoV-2 ORF3bタンパク質のインターフェロン抑制活性は、2002~2003年に世界各国で流行したSARSウイルス(SARS-CoV)のORF3bタンパク質よりも強いことから、ORF3bタンパク質の機能が、COVID-19の病態進行と関連している可能性が考えられます。また、現在全世界で流行しているウイルスの配列を網羅的に解析した結果、インターフェロン抑制効果が増強したORF3b変異体が出現していることを見いだしました。

本研究成果は、2020年9月4日(英国時間)に英国科学雑誌「Cell Reports」オンライン版に公開されました。

本研究は、佐藤 佳 准教授に対する日本医療研究開発機構 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(19fk0108171h0001、20fk0108270h0001、20fk0108146h0001)、科学技術振興機構(JST) 国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J-RAPID)(JPMJJR2007)、新学術領域研究「ネオウイルス学」(16H06429、16K21723、17H05813、19H04826)、科学研究費補助金 基盤研究B(18H02662)の支援の下で実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“SARS-CoV-2 ORF3b is a potent interferon antagonist whose activity is increased by a naturally occurring elongation variant”
DOI:10.1016/j.celrep.2020.108185

<お問い合わせ先>

(英文)“Identification of a viral factor that impairs immune responses in COVID-19 patients”

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