九州大学 稲盛フロンティア研究センター、九州大学 大学院工学府 材料物性工学専攻および九州大学 エネルギー研究教育機構の山崎 仁丈 教授は、九州大学 稲盛フロンティア研究センターの兵頭 潤次 特任助教、九州大学 大学院工学府 材料物性工学専攻の北林 康喜 氏(修士課程2年)、星野 健太 氏(博士課程3年)および宮崎大学 工学教育研究部の奥山 勇治 准教授らと共同で、400度の中温度で動作する固体酸化物型燃料電池(SOFC)に用いられるプロトン(H+)伝導性電解質BaZr0.4Sc0.6O3-δを開発しました。
SOFCに用いる電解質材料は、結晶粒内と粒界を含んだ全プロトン伝導度が0.01ジーメンス毎センチメートルを超え、かつ燃料電池動作環境に含まれる水素、酸素、二酸化炭素、水蒸気に対して安定でなければなりませんが、このような材料はこれまで見いだされていませんでした。
本研究グループは、ジルコン酸バリウム(BaZrO3)にスカンジウムを60パーセントという極めて高い濃度で添加することで、燃料電池動作の目標温度である400度において結晶粒内と粒界を含んだ全プロトン伝導度が0.01ジーメンス毎センチメートルを超えることを初めて見いだしました。さらに、その高いプロトン伝導性は400度において200時間維持され、400度、98パーセントという高濃度の二酸化炭素雰囲気下においても240時間以上安定であることが実証されました。
本電解質を用いた固体酸化物型燃料電池では、中温動作により高価な白金や耐熱材料が不必要となるため、燃料電池の大幅コストダウンが期待されます。
本研究成果は、2020年5月28日(日本時間)にWiley-VCH社が発行する科学誌「Advanced Energy Materials」のオンライン版で公開される予定です。
本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR18J3)の支援を受けました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(277KB)
<論文タイトル>
- “Fast and stable proton conduction in heavily scandium-doped polycrystalline barium zirconate at intermediate temperatures”
- DOI:10.1002/aenm.202000213
<お問い合わせ先>
-
<研究に関すること>
山崎 仁丈(ヤマザキ ヨシヒロ)
九州大学 稲盛フロンティア研究センター/九州大学 大学院工学府 材料物性工学専攻/九州大学 エネルギー研究教育機構(Q-PIT) 教授
〒819-0395 福岡県福岡市西区元岡744 稲盛財団記念館406号室
E-mail:yamazakiifrc.kyushu-u.ac.jp
奥山 勇治(オクヤマ ユウジ)
宮崎大学 工学教育研究部 環境ロボティクス学科 准教授
〒889-2192 宮崎県宮崎市学園木花台西1-1 工学部A棟310
Tel/Fax:0985-58-7855
E-mail:okuyamacc.miyazaki-u.ac.jp
-
<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーション・グループ
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
Tel:03-3512-3531 Fax:03-3222-2066
E-mail:crestjst.go.jp
-
<報道に関すること>
九州大学 広報室
E-mail:koho
jimu.kyushu-u.ac.jp
宮崎大学 企画総務部 総務広報課 広報係
Tel:0985-58-7114 Fax:0985-58-2886
科学技術振興機構 広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
Tel:03-5214-8404 Fax:03-5214-8432
E-mail:jstkohojst.go.jp