九州大学,宮崎大学,科学技術振興機構(JST)

令和2年4月21日

東京大学
理化学研究所
科学技術振興機構(JST)

ワイル粒子を用いた不揮発性メモリ素子の原理検証に成功

~ビヨンド5Gに向けた超高速駆動・超高密度メモリ開発に道~

ポイント

東京大学 物性研究所の肥後 友也 特任助教、Tsai Hanshen 特任研究員、東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻・物性研究所およびトランススケール量子科学国際連携研究機構の中辻 知 教授らの研究グループは、同研究所・同機構 三輪 真嗣 准教授、大谷 義近 教授、理化学研究所 近藤 浩太 上級研究員、東京大学 大学院工学系研究科の野本 拓也 助教、有田 亮太郎 教授らと共同で、反強磁性体中において、幻の粒子「ワイル粒子」の電気的制御に成功し、ワイル粒子の作る巨大電圧信号を利用した不揮発性メモリの動作原理を実証しました。

反強磁性体はスピンの応答速度が強磁性体に比べて2~3桁早いピコ秒オーダーであるため、メモリ素子に反強磁性体を用いると、超高速の情報処理を行える可能性があります。この超高速性はビヨンド5Gに必要とされる性能であり、すでに応用されている強磁性体を用いた不揮発性メモリでは到達不可能な領域です。また反強磁性体では、スピンの方向が互いにキャンセルするように秩序するため、漏れ磁場がなく、大容量メモリ素子を作製できます。このように反強磁性体の利用は、IoT時代のビッグデータ処理に不可欠な省電力・超高速駆動・超高密度な次世代メモリの開発にブレークスルーをもたらします。

本成果の鍵となる「ワイル粒子」は、1927年の提案以来、ニュートリノなどの素粒子を記述すると考えられていましたが、自然界では未だに存在が確認されていない幻の粒子です。しかし、2015年に物質中での存在が確認されて以降、それが持つさまざまな量子的性質に世界中で大きな関心が集まっています。特に、磁性体中のワイル粒子は結晶の乱れなどに強靭であり、かつ、巨大な電圧信号を示します。従ってワイル粒子の電気的な制御は不揮発性メモリなどへの応用において不可欠な開発要素でした。

本研究成果は英国科学雑誌「Nature」において、2020年4月20日付オンライン版に公開される予定です。

本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST「トポロジカル材料科学に基づく革新的機能を有する材料・デバイスの創出」研究領域(研究総括:上田 正仁)における研究課題「電子構造のトポロジーを利用した機能性磁性材料の開発とデバイス創成」(課題番号:JPMJCR18T3、研究代表者:中辻 知)の支援を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

(英文)“Advanced memory from advanced materials”

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