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平成18年度第2回プログラムオフィサーセミナー開催報告

プログラム   参加者実績

1.開催日

平成19年3月1日

2.場 所

都市センターホテル(〒102-0093東京都千代田区平河町2-4-1)

3.POセミナーの経緯と位置づけ

会場の様子
 科学技術振興調整費によりJSTが文部科学省から受託して平成16年度に実施した3回を含めると通算6回目のPOセミナーとなる。前回同様、今回も、内閣府、文部科学省、経済産業省に加え、8つの競争的研究資金配分機関(日本学術振興会、新エネルギー・産業技術総合開発機構、情報通信研究機構、農業・食品産業技術総合研究機構、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、医薬基盤研究所、国際交流基金日米センター、国際環境研究協会)のご後援を頂き、参加者は約150名であった。
 今回は、事前評価、中間評価、事後評価、追跡評価など研究開発評価のマネジメント業務が、競争的研究資金配分機関ひいてはPOの中核業務であるとの認識のもとに「研究開発評価とPOの役割」をテーマとした。

4.各講演の概要報告

 プログラムに基づき、最初に内閣府総合科学技術会議において研究開発評価を担当しておられる奥村直樹議員よりご挨拶を頂いた。第3期科学技術基本計画、また総合科学技術会議が実施した「競争的研究資金制度改革」さらに、国の「研究開発評価の大綱的指針」等に触れられPO・PD制度が近い将来、我が国にも定着することを期待するとのご挨拶であった。
 引き続き、POセミナーの開催責任者であるJSTの高橋宏主監(プログラムディレクター)より、POセミナー開催の経緯と、各講演の講演設定の背景及び講演内容の概略が紹介され、「研究開発評価」のマネジメントにおける論理と方法論に対する重要性認識が世界的に高まっており、特に欧州においてその学問的取り組みが進んでいることの紹介がなされた。一例として、文部科学省による我が国のファンディングプログラムの分類と、その分類に基づく事前評価(採択審査・Review Panel)の設計の考え方が紹介され、Review Panelの設計が採択結果に重要な影響を与えうるとの紹介がなされた。
 以下に、各講演の概要を記す。

○「我が国の研究開発評価の行政上の仕組み」川口尚 内閣府参事官
研究開発評価に関連する法令・指針等の変遷、各法令・指針の目的、評価の対象、大綱的指針に則った評価の流れ、主な研究開発関係省における研究開発評価指針、政策評価に基づく評価の仕組み、独立法人通則法に基づく評価の仕組み、各府省における研究開発評価の体制、総合科学技術会議における今後の取組、など、我が国の評価体系の全体像が紹介された。

○「JSTにおける評価の新しい試み--イノベーションプロセスの観点からの評価指針の検討」
 吉田秀紀 基礎研究制度評価タスクフォース
JSTがファンディングを実施した基礎研究課題において、イノベーションシーズを生み出したと思われる課題を選定し、イノベーションプロセスの観点から評価指標に関する検討を行った結果が紹介された。イノベーションプロセスを、純粋基礎研究、目的基礎研究、応用実用化研究、産業化の4ステージで考え、それぞれのステージ間の関門を、ステージゲートI、ステージゲートII、ステージゲートIIIと名付けた。ステージゲートIIを乗り越えた課題をJSTのファンディングミッションとしての成功例と位置づけて、その成功要因及び阻害要因が分析・検討された。

○「NEDOにおける研究開発評価の現状と課題」
 弓取修二 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 主任研究員
NEDOは我が国ファンディングエージェンシーの中では最も早く研究開発評価に体系的に取り組んでおり「評価部」も設置されている。そうした背景を踏まえNEDOにおける事前評価、中間事後評価、追跡評価に関し、実施方法と実施結果の例が報告された。ついで、NEDOの研究開発評価における課題として豊富な解析結果に基づく示唆に富む考察が紹介された。

○「産総研における研究開発評価―アウトカムの視点からの研究ユニット評価」
 小林直人 理事・評価部長
産業技術総合研究所のミッションと組織・人員構成の紹介がなされ、組織評価システム、研究ユニット評価の趣旨と観点、アウトカムとは何か?アウトカムの視点からの評価、成果評価の概要、ロードマップ評価、アウトプット評価、マネジメント評価、成果評価の数値化と評点の算出法、重点課題総合点の計算例と総合評点の算出法などの紹介がなされ、続いて実際の研究ユニット評価の結果、評価インタバル、アウトカム創出パターン、などが紹介された。さらに、産総研が取り組む戦略的な研究評価の紹介もなされ、内容豊富な有益な講演であった。

○「研究開発評価の質的改善」平澤 東京大学名誉教授
1.エキスパートレビュー、2.実績把握、アディショナリティー、アウトカム、3.階層的対象(プログラム)の評価、4.プログラム評価のポイント、5.ROAMEFサイクル、6.プログラムの設計のポイント、6.イノベーションマネジメントの枠組みとイノベーションの定義、7.質的改善において必要となる評価人材、という7つの大項目に分けて「研究開発評価」に関する長年の研究成果が紹介された。豊富な内容に対し時間が不十分であり、貴重な講演資料の全てを詳細に説明して頂く事は出来なかったが、「研究開発評価」が奥行きの深い論理と方法論の体系であることが示されその重要性認識を深める上で貴重な講演であった。全ての講演資料を詳細に理解するためには数時間の講演時間が必要と思われ、事務局ではいずれ何らかの機会を設定したい。

○「国際会議での評価を取り巻く動向と我が国の取り組み」
 後藤 裕 文部科学省 科学技術・学術政策局 評価推進室長
アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、日本の8カ国の行政機関や資金配分機関の担当者の会合である「G8研究開発評価ワーキンググループ会合」に関する紹介がなされた。G8会合に併せて評価関連の国際会議を開催することが恒例になっており、オタワで開催された「Blue SkyII Forum 2006」の紹介もなされた。
こうした諸外国の評価を取り巻く動向に鑑み、文部科学省が実施している「評価人材の養成確保への対応」と「評価システム改革への着目点」などの紹介がなされ、米国のWREN(Washington Research Evaluation Network)や欧州のPRIME(Policies for Research and Innovation in the Move Towards the ERA)に相当する我が国の「研究開発評価」活動のネットワーク構築の必要性が述べられた。

 最後に日本学術振興協会の木曽功理事より閉会のご挨拶を頂いた。我が国の科学技術政策におけるファンディングの重要性またPOセミナーの意義を強調された。

5.アンケート結果

 POセミナー終了時にアンケート調査を行った。101名からアンケートの回答が寄せられ、POセミナーの開催が多くの参加者から支持されていることが理解された。今回の「研究開発評価とPOの役割」と題する企画によりファンディングの役割とPOの役割に関し理解が深まり参考になったとの多くの意見が寄せられた。平澤先生の講義をもっと時間をとって聞きたいとの希望も少なからず寄せられ、事務局として何らかの企画を考えたい。
 なお、今回のPOセミナーは通算6回目となる。事務局としては、諸外国のPO制度紹介に始まって次第に実務・応用課題の方向へテーマを遷しているが、アンケートによれば、新たにPOになられた方や、過去のPOセミナーに参加していない方も少なからずおられるようであり、今後のPOセミナーのテーマ設定になんらかの工夫が必要であるとの示唆を受けた。
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